2019年7月26日金曜日

麺を乾かすこととそれをゆでることの発明は革命だった。

今日は、パスタの本の隠れた名作、『パスタ・レボリューション』のご案内です。

以前にもブログで紹介していますが(こちら)、パスタの歴史がとても面白いです。
どこを取っても面白いのですが、今日訳すのは、こんな話。

「17~18世紀までは、パスタは注目されていた食材ではあったが、あまり普及はしていなかった。
ナポリ人は肉も食べたが、野菜もたくさん食べることから、“mangia-foglieマンジャ・フォーリエ”と呼ばれていた。
ナポリ王国ができるとパスタは基本の食材になり、“primoプリーモ”と呼ばれるようになる。
中世、ルネサンス、現代を通じて、パスタは重要な食材で、現在でも外国で見られるような料理の付け合せではなく、主役だった。
これは18世紀以降のイタリアでのみ見られる習慣だ。
その普及には、肉食を禁じる日、という教会の掟の存在も一役買っていた。・・・」

「イタリアのパスタの文化は中世に生まれた。
そして新しい技術や小麦の品種改良などを経て新しいパスタが作り出されてきた。
その根底にはパスタに対する考え方の変化も伴っていた。」
パスタの革命はまず中東の、アラブとユダヤの文化圏で起きた。
イトリアと呼ばれた糸の形のパスタは、天日で素早く乾き、保存に適したものだった」

※この麺に関しては、最近入荷した本『100ラグー』に詳しい話があって、

以前ブログでも訳しています。(こちら)
トルコで大ヒットしたアラビア語の料理書(1226)に、世界で初めてパスタが登場し、それがイトリアというスパゲッティーニだったという話です。

「保存に適したパスタは大量に製造されるようになり、産業が生まれた。
1152年にシチリアのトラビアで発行された書類が、乾麺の交易に関する最初の公式文書と考えられている。
シチリアで大量に生産されたパスタは、船でイスラムやキリスト教の国に運ばれていった。

しかも最初はオーブンで焼いたり揚げたりしていたパスタを、ブロード、湯、牛乳などでゆでるようになった。
この調理方法は、薬や栄養学の概念も変えた。
非溶解性の食物を摂っていた人々に、熱いと冷たい、ジューシーとドライという反する概念を認識させ、干した食べ物を戻す、という方法が普及した。
こうしてパスタはシチリアからイタリア、そして世界を征服していく」

なんと、ゆでる前は揚げて食べていたんですねー。
干した麺を戻すという作業でさえ、革命的な発明だったとは、パスタの歴史は革命でできていたんですね。

パスタの乾燥


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