(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)4月号の話に戻ります。
復活祭のある月で春の訪れを祝う雰囲気に満ちた4月に取り上げた地方料理は、
クッツーパ・カラブレーゼcuzzupa calabrese(リチェッタはP.41)。
カラブリアの復活祭のシンボルのドルチェです。
クッツーパ・カラブレーゼ。
卵は命の復活、春、希望の象徴で、復活祭の必須アイテム。
一般的なイースターエッグは、ゆで卵を天然色素を使って着色する方向に特化した。
ゆで卵に色をっけるくらいなら素朴で可愛いもんですが、ロシアの貴族たちは、イースターエッグを宝石で造りました。ロシアの皇帝が彫金師、ピーター・カール・ファベルジュに作らせたプラチナの中に金の卵が入ったものがイースターエッグの始まり。
まあ、芸術は支配者の庇護のもとで発展していくのは、ルネサンスを始めとする世界中の芸術がたどった道ですが、卵は宝石化の一方で、南イタリアの農家では、ドーナッツ型の甘いパンの巣に籠った姿に進化した。
高価な宝石とは縁がありませんが、マンマたちの温かい手作りの、ある意味とても貴重なドルチェ。
昔、南イタリアではバターさえも高級品でした。油脂はラードかオリーブオイルです。
小麦粉、砂糖、ラードという究極にシンプルなパスタ・フロッラのドルチェを特別なものにしているのは、女性たちが編み込んだりして作り上げた複雑で愛情あふれたその形。素朴であればあるほど、胸を打たれます。宝石の卵とは究極にある卵です。プレゼントにもなり、復活祭の卵としての最初の目的も果たしました。
クッツーパはアラビア語でパンという意味のkhubzが語源だとか。ギリシャ語の王冠という言葉が語源のものもあるし、ラテン語のカッコウを経由したものもある。
超高級な宝石の卵より、農家の女将さんの創造力で形造られるパスタ・フロッラの籠のほうが、いかにも南イタリア的。
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