2023年6月6日火曜日

パスタ・フレスカの基本はパスタ・リッシャ。代表はタリアテッレ。シンプルな平麺だけど、アレンジは無数に加えられた。

今日は(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ、2021年4月号)の記事から、“春のパスタ・フレスカ”(P.44)の話をしようと思っていましたが、三角形のラビオリの話をupするのを忘れていたことが見つかったので、順番が狂ってしまいました。

春はパスタ・フレスカの季節、というのは、ハーブと花という、春の訪れを感じさせる食材が、この季節のパスタによく合うところから生まれた発想です。
ここでパスタの基本中の基本の話。パスタは、フレスカとセッカに大別されます。工場で大量生産するのに理想的なパスタがセッカ。フレスカは、家庭で主婦が地方の食文化を親から受け継ぎ、子へと伝えてきたもので、家庭がその中心地。でも、主婦が料理にかける時間がどんどん短くなって、パスタ・フレスカの文化も変わってきました。
パスタ・フレスカは、パスタ・リッシャpasta lisciaとパスタ・リピエーナpasata ripienaに大別されます。
パスタ・リッシャは小麦粉と水の生地を麺棒で薄く均一に伸ばす生地で、そこからタリアテッレなどが生まれます。パスタ・リピエーナはパスタ・リッシャ2枚の間に詰め物をして、詰め物が飛び出さないように工夫した形のパスタです。ラビオリやトルテッリーニなどに発展しました。

パスタ・フレスカは、手と道具を使ってさまざまな形を造り出す方向に発展しました。
ここからはパスタの歴史の傑作本、『パスタ・レボリューション

を参考にしました。
この本は、パスタの歴史を動かした数々の革命を分析して解説する本です。
パスタが工場で大量生産させるようになり、フォークというパスタを食べる道具が普及し、ヌーベル・キュイジーヌの考えが広まり、パスタは庶民のお腹を満たす食べ物から、グランシェフが腕を振るう料理へと格上げされ、さらに材料の小麦粉や美味しいパスタを作るための科学的な根拠、地元の食材の活かし方などが深く探求される時代になります。

さて、パスタ・フレスカは、軟質小麦粉と水をこねた生地を麺棒で平らに均一に伸ばすことからスタートします。
麺棒で伸ばすパスタの本場はボローニャ。

タリアテッレより細い麺、タリオリーニtaglioliniはピエモンテではタヤリン

タヤリンtajarin。

細い麺と言えば、サルデーニャのフィリンデウfilindeu。

そば粉入りの生地なら、ヴァルテッリ―ナ(ロンバルディア)のピッッォッケリ・ヴァルテッリネージpizzzocheri valtellinesiや、フリウリのブレクblecs。

アブルッツォのサーニェもパスタ・リッシャから造る麺。
サーニェ。

材料も麺棒も一見よく似てるのに、出来上がった麺はタリアテッレじゃない。

サーニェ・インカンヌッチャ―テSagne incannucciate。
パスタ・リッシャのアレンジは、粉の種類を変える、麺をねじる、道具を使う、などに枝分かれしていった。続きは次回。



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