さて、何度も言ってますが、(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ2021年4月号)の記事、《春のパスタ・フレスカ》です。
春は命の復活の季節、その象徴がハーブ。
記事の一番最初のパスタは、野草と花を練り込んだパッパルデッレ(P.44)です。
記事のサブタイトルに、パスタ・フレスカ・クレアティーバ“Pasta fresca creativa”とあります。伝統料理のパスタではなくて、オリジナルパスタということです。
1品目の野草と花のパッパルデッレは、別名、刺繍のパスタ“pasta ricamata”と呼んでいます。
これはパスタにハーブを練り込む時の表現方法。フィリグラナ“filigrana”透かし模様、と呼ぶこともあります。
かなり昔のことではっきり覚えていないのですが、初めて見たのは確か、マルケージシェフのイタリアンパセリを練り込んだパスタだったと思います。生地の中央にイタリアンパセリの葉を1枚のせてもう1枚の生地ではさみ、パスタマシンで伸ばしながら薄くすると、葉が引き延ばされてパスタの間に透かし模様ができ、それがとても美しくて、繊細な芸術作品のようでした。
イタリアンパセリを刻んで加えるのとは出来上がりが違う。
マルケージシェフの動画がありました。これです。ラビオリロ・アペルトraviolo apertoでした。
新しい形は、その形に合わせたダイスを造れば、いくらでも大量生産ができました。
でも、ラビオロ・アペルタは、一人のシェフの感性と才能から生まれたもので、大量生産できるタイプのパスタではありませんでした。
ヌーベルキュイジーヌの影響、とも言われましたが、マルケージシェフのパスタをきっかけに、パスタがアルタ・クチーナの一員として認められた革命的な料理でした。
今も多くのシェフがオリジナルパスタに挑戦しています。
21世紀になって、ハーブ入りパスタは、エディブル・フラワーを加えてさらに進化しました。それがP.44のリチェッタです。
ソースは初物のグリーンピースです。
記事では、パスタ・リッシャがハーブと花で季節感あふれる染付をしたようになりましたが、パスタ・リッシャの定番のアレンジは、色付きパスタ、“pasta colorata”です。
中には、エミリア・ロマーニャやロンバルディア南部のほうれん草やエルベッテ入りの緑のパスタのように、特定の地方と強く結びついた伝統の色付きパスタもある。
個人の創造力は際限なく広がるけど、グランシェフのパスタとは、根本が何か違う。
記事には、パプリカとビーツのピューレを練り込んだタリアテッレ・ロッセと、新ほうれん草と黒キャベツ入りのタリオリーニ・ベルデのリチェッタもあります。
パスタ・コロラータは、色を付ける食材、詰め物、ソースの食材の選択がより複雑になる難しいパスタです。その反面、成功するとインパクトが絶大。
パスタ・コロラータの話、次回に続きます。
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ブログ『イタリア料理ほんやくざんまい』
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』
“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
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