2022年8月27日土曜日

グランシェフは世界中のスタッフと世界中のお客のために料理を作るので、料理の知識も国際的。


さて、肉料理なら北のシェフ、という結論にたどり着きましたが、今月号の特集記事でクラッコシェフが紹介した肉料理のリチェッタは、エミリア・ロマーニャ州の“うさぎ肉のベリー添え(P.19)coniblio ai frutti di bosco”でした。
彼の著書、『カルロ・クラッコの地方料理

にも載せている料理です。本には料理の写真はないので、この記事の写真でベリーの色がとても印象的な料理、ということを初めて知りました。
クラッコシェフの解説には・・・。
「うさぎ肉はフレッシュな白い肉で、イタリアではとても人気があります。有名なのは、イスキアのアナうさぎconiglio di fossa、カルマニョーラの灰色うさぎgrigio di Carmagnolaなどが知られています。
一般的には、このエミリア地方のリチェッタのようにカットして煮込み、野菜を添えてサーブします。けれど、おそらくうさぎがペットとして広まるにつれてうさぎ料理は姿を消しつつあります。この現象はかつて日本でも起こりました。昔の日本ではウナギは家庭で飼育する動物で、誰も食べようなどとは思わなかったのです。今回紹介したリチェッタには伝統的なリチェッタに小さなアレンジを加えて私なりに変えていますが、食べる価値ありですよ。
おそらく、彼の料理を食べにやってきた顧客か、一緒に働いた日本人スタッフが、うさぎは可愛いから日本では食べない、とか言ったのではないでしょうか。でも、昔のエミリア・ロマーニャ地方では、うさぎ肉は豚肉に次いで消費量の多い肉だったそうです。うさぎ肉は大人にも子供にも合う甘みのあるマイルドな肉で暖炉でコトコト煮るのに適した、家庭では人気の肉でした。
ことの真偽は別にして、イタリアの地方料理どころか世界各国の伝統料理の知識を持っているのですね。
うさぎ肉のリチェッタでは、アラを使ったスープのとり方から各部位の肉の説明などもあります。
ウサギ肉のロマーニャ風煮込みConiglio in umido alla romagnola。

材料/4人分
うさぎ・・1羽
にんにく・・2かけ
ローズマリー・・1枝
ローリエ・・1枚
EVオリーブオイル、塩、こしょう、ビネガー
パキーノのミニトマト・・200g

・うさぎ肉は流水とビネガーで洗って切り分け、水気を切る。
・鍋に肉、レバー、全部のハーブ、油、にんにく、塩、こしょうを鍋に入れ(陶器の鍋を使うとまったく違う味になります)、肉を裏返しながら強火で15分焼いてビネガーをかける。ビネガーはワインより安く(昔はワインではなくビネガーをかけるのが一般的だった)、甘みがある。水気が飛んだら蓋をして約20分、ビネガー少々をかけて焼き色をつけながら煮る。
・半分に切ったパキーノトマトを加えて10分煮る。
ベリーのコントルノは肉料理の付け合せの定番。肉を焼いたフライパンでベリーを炒めてワインでデグラッサーレすれば、中央ヨーロッパのジビエ風。



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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