2022年8月19日金曜日

パスタ・エ・ファジョーリを洗練された1品にするシェフたちのアイデア。

今日のお題は今月の(CIR)のリチェッタから、イタリア料理を代表する料理の一つ、パスタ・エ・ファジョーリPasta e Fagioliです。
すごく素朴で家庭的で気取ったところが一つもない普段着の料理です。
豆とパスタという栄養的にもすぐれたこの料理は、都会でデスクワークをしている家庭の料理ではなく、一日中肉体労働をした農民が、一日の終わりに食べる、栄養満点の家庭料理です。
リチェッタの詳細は(CIR)P.6をご覧ください。

10月号の『クチーナ・イタリアーナ』はフィーチャリング・カルロ・クラッコ。
この料理の写真も、すごく美しくて洗練されています。
パスタ・エ・ファジョーリが洗練されてる、てどういうことかとも思いましたが、よく見ると、お皿はジノリです。リムにてとも繊細な花が描かれています。料理はこの花と溶け込むような美しい、立体的な盛り付けになっています。

ジノリの花に飾られると、田舎風料理もアートになるのですわ。

さらに、パスタをかなりこんもり盛って軽快な動きがあるショート・マルタリアーティを料理の主役にしています。
今月は、クラッコシェフのトマトのスパゲッティの記事もありますが、何の変哲もないトマトソースのスパゲッティも彼が盛り付けると、アートになります。

パスタ・エ・ファジョーリはイタリア中に広まっている料理ですが、パスタの産地、ナポリのパスタ・エ・ファジョーリはほかの地方とは違います。何が違うかというと、パスタです。ナポリではパスタ・エ・ファジョーリ用のミックスパスタが売られています。
クラッコシェフがパスタ・エ・ファジョーリに使ったのはショート・マルタリアーティです。普通のマルタリアーティは幅広の平麺ですが、パスタ・エ・ファジョーリ用には縁が縮れたタイプを使っています。料理が立体的になって動きが出ることを考えて選んでいることが分かります。

ナポリ風パスタ・エ・ファジョーリ。
パルミジャーノの皮を加えるリチェッタ。


パスタ・エ・ファジョーリのバリエーションの1つ、パスタ・エ・パターテもミックスパスタでできる。

ベローナの星付き店、リストランテ・カーザ・ベルベッリーニのジャンカルロ・ベルベッリーニシェフのパスタ・エ・パターテpasta e patate。ベローナのシェフはナポリの庶民料理をどうアレンジするのでしょうか。

材料/4人分
エシャロット・・2個
ベーコン・・30g
じゃがいも(デンプンが豊富な古いもの)・・180g
パスタ(今回使っているのはグラニャーノのメッゼ・マ二ケだが、折れたスパゲッティやロングパスタを手で折ってもよい)・・220g
鶏のブロード・・1ℓ
バター・・20g
EVオリーブオイル
パルミジャーノ・・40g
帆立て貝・・8個
モッツァレラ・ディ・ブファラ・・150g
塩、こしょう

・エシャロットのみじん切りを油でソッフリットにする。
・じゃがいもをパスタよりやや大きな角切りにしてソッフリットに加え、なじませる。
・ベーコンを加えて炒める。リゾットの要領でデンプンを溶かしながらじゃがいもを煮る。
・じゃがいもが煮上がる3、4分前にパスタをゆでる。
・パスタを取り出してじゃがいものゆで汁に入れてアルデンテにゆでる。
・ホタテの貝柱に塩をして両面を油で焼く。
・パスタ・エ・パターテにグラナ・パダーノ少々を加えてマンテカーレする。
・皿に盛り付けて4つに切ったホタテ貝を加える。こしょうをかけて油を回しかける。
・仕上げにモッツァレラのスプーマをサイフォンから絞り出す。

ベルベッリーニシェフはパスタ・エ・パターテにリゾットの製法調理方法を応用しました。
最後のほうは、リゾット造っていると勘違いするくらいリゾットの製法です。これは可能性が広がりますね。
ベルベッリーニシェフの店、カーザ・ベルベッリーニの特徴はオープンキッチン。
キッチンとホールが一体になったかなり独特な雰囲気。



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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