2022年9月21日水曜日

植物性油脂のソースと動物性油脂のラグー、野菜と水分の乳化がポイントで、一番便利なのがトマトのパッサータでした。

今日はアジアーゴの料理です。とは言っても何も思い浮かばないので、スローフードの地方料理書、『イタリア・イン・クチーナ

のベネトのページを見てみました。
アジアーゴは確か山のチーズでした。アジアーゴは標高1000mの高原。
“本には、山はジビエ、きのこ、山小屋のチーズ、河魚のふるさとで、数多くの野菜やハーブ、ポレンタなどが渓谷を伝って下ってくる。下った先にはイタリアで一番大きな湖ガルダ湖、そしてベネチアと、ラディッキオ・ロッソからバッサノのホワイトアスパラガスまで、上質の野菜が育つ平野から、ワイン造りに適した丘陵地帯まであらゆる地形がある。
平野の名物は、ラモンのいんげん豆から、ビアローネ・ナノ米、とうもろこし、温暖なガルダ湖のオリーブ、柑橘フルーツと、およそあらゆるものが育ち、そのどれもが質の良さで国中に知られている。
ベネチアとそれに続く潟や海にも上質の海産物で知られる港がある。
ベネチアにはオリエントのスパイスやノルウェーのバッカラ、ゲットーのユダヤ料理も広まった。
さらに、親から子へと代々受け継がれる伝統のオステリアでは、美味しい地ワインを添えながら地元料理をつまむ習慣も生まれた。
こうして異文化との幸せな邂逅が行われながらベネト料理は出来上がっていった。

ベネト料理は、リゾットやポレンタなどブリーモ・ピアットの名物が多いので、今度はパスタの地方料理書、パスタ・フォルメ・デル・グラノ

を見てみました。
まずアジアーゴを使った料理はないか探してみたのですが、見つからないなあ、と思っていたら、材料の中に、こんなものを見つけました。
“formaggio stravecchio di malga(フォルマッジョ・ストラベッキオ・ディ・マルガ)”。
これは、山小屋の長期熟成チーズ、つまりアジアーゴ・ストラベッキオのことでは・・・。

料理はガルガ―ティ・コル・コンシエロGargati col consieroです。
ガルガ―ティは小麦粉とセモリナ粉、卵で作るマッケロンチーニ・リガーティの一種。ビチェンツァの伝統的パスタだそうです。ビゴリの話題の時に登場した、押し出して造るパスタ。コンシエロは、ラグー・ビアンコのこと。
本のリチェッタを読んでみると、香味野菜のみじん切りをバターとオイルでソッフリットにして、牛と豚、鶏、七面鳥の粗い合挽き肉を加え、白ワインとハーブを加えてじっくり煮込んだソースです。
パスタは小麦粉、セモリナ粉、卵の生地をトルキオで押し出した長さ7~8㎝、直径2~3㎜の穴あきパスタ。
パスタをラグーであえたら、おろしたアジアーゴ・ストラベッキオを散らす。

ここで気になったのが、ラグー・ビアンコragù biancoです。
つまりトマトが入らないラグー。

ひょっとして、このチーズは、地中海料理ではなく、中央ヨーロッパの山の料理に合うのでは、ないでしょうか。

山小屋のアジアーゴのコンクール↓

山のアジアーゴの作り手のアグリトゥーリズモ↓

アジア―ゴは標高1000メートルです。

イタリア料理アカデミーの本、スーゴとソース

では、ソースはオイルやバター、ラルドから発展していき、スーゴはハーブやスパイスから発展していったと分けています。
さらに動物性脂肪のバター、ラルド、パンチェッタ、ラードがベースのものと植物性脂肪のオリーブオイルがベースのものでは特徴が大きく違います。
オリーブオイルはベネチアの最も大事な交易物資で、その物流は管理されていました。
なので、ベネチアの支配地では、バターよりオリーブオイルが一般的な油脂で、オイルには玉ねぎ、にんにくなどのソッフリットで風味をつけました。ベネトの有名なソース、イン・サオールのように、ベネトで広まったのはトマトや動物性油脂を加えないソースでした。
パスタのビゴリも、ビゴリ・イン・サルサと呼ぶアンチョビのソースが広まりました。
ビゴリ・イン・サルサ↓

鴨のラグーのビゴリ↓

ソースがラグーになると、トマトと肉が加わって、かなりボリューミーになります。
トマトだけが加わると、軽くて滑らかな、そして真っ赤なソースになります。野菜と水分をつないで乳化させるのにトマトのパッサータは最適でした。おろしたチーズにも同じ効果がありますが、チーズと比べると粘りが出る、という欠点があります。

ラグー・ビアンコ↓


トマトのパッサータの代わりにオリーブオイルをたっぷり使ってます。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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