2022年9月29日木曜日

オーストリアの兵隊のために考え出されてベネト人もとりこにした食前酒、スプリッツ。

今日も『PIATTI E CICCHETTI DA OSTERIA』

から、一部を訳してみます。
ベネトの新しい支配者となったオーストリアの兵隊たちは、べネトのオステリアに入り浸りながらも、アルコール度が高いベネトのワインは苦手だった。そこでオステリアの店主たちはオーストリアの兵隊たちのために新しい飲み物を考えだした。すると、それが思いの他大人気になり、ベネトの人からも人気で、さらに世界中に広まっていった。
それはスプリッツSpritz。フリッザンテの白ワイン(主にProsecco)を水で薄めたアペタイザーで、様々なバリエーションができて、加えるリキュールによっては鮮やかな赤い色をしたものもあった。
こうしてオステリアでディナーの後や夕食の前に飲む一番人気のアペリティーボが誕生した。
お薦めのバカロとチケット、スプリッツを紹介する動画↓

スプリッツ↓

・グラスに氷を入れてプロセッコ90mlとアペロールを3対2の割合で注ぐ。
・アペロール60mlを加える。
・ソーダかガスの強い冷えたミネラルウオーターでグラスを満たし、
・オレンジの輪切りを加える。

時代はイタリア統一、リソルジメントの機運が高まっていた。電車や自転車や車で人々は各地から美味しいワインを出すオステリアに集まった。

リソルジメント↓
ルキノ・ビスコンティ監督の映画『山猫』は、イタリア統一戦争のさなかのシチリア貴族の落日の様子を描いた美しくて残酷でリアルな映画。
この映画の中で描かれる統一運動は、時代の激変と、それに振り落とされていく人たちの姿が、とても深く沁みました。
ヨーロッパの貴族というと、華やかなイメージしかなかったのですが、過酷な現実を知ってしまったということがショックな映画でした。でももちろん名作です。シチリア料理に関する有名なシーンもあります。
この映画でアラン・ドロンはバート・ランカスター演じる侯爵の甥でイタリア統一のシンボルになったガリバルディの赤シャツ隊の隊員を演じています。若くて美しく輝き、昔ながらの階級に縛られた女性を魅了していく新勢力の象徴です。

赤シャツ隊のシチリアでの戦闘シーンは、統一運動の激しさをリアルに再現していて、かなりショックでした。

本の内容に戻ります。
・・・オステリアでは毎週金曜日にポレンタを添えたバッカラを出した。平日は、トリッパ・イン・ブロードtrippa in brodoやパルミジャーナparmigianaが人気だった。定番料理はソップレッサやモルタデラを挟んだシンプルなパニーノ、ゆで卵とアンチョビ、ハーブ入りのオリジナルなフリッタータ、野菜のグリル、ポルペッテ、コテキ―ノやムゼット、大人気のパスタ・エ・ファジョーリ、シーフードのサラダ、イワシのフリット、シャコなどで、店主の得意料理と気質が料理には現れる。
心地よく、美味しいワインが飲めて、美味しい料理もあり、元気が出る店、オステリア。料理はカウンターの大皿に並び、それを皿に取り分け、紙のテーブルクロスの上にサーブされる。最初の1杯が料理への前奏曲となる。入口にチョークで黒板に手書きされたメニューや窓につるされた伝統に忠実なメニューをちらっと見たら、あまりあれこれ悩まずにすぐに注文して席につく。料理の量はたっぷり盛られている。オステリアから空腹で出ることはありえない。
現代のベネトのオステリアのライバルは品ぞろえの良いエノテカだ。

ベネチアでバカラ巡りをした後に夜明けの運河を見ながら、ベネチアっていい町だなあ、と思った人は、もうベネチアにはまっています。

次回は本からチケッティのリチェッタを訳してみます。




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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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