このところ、ヴァッレ・ダオスタの料理を取り上げていますが、このイタリアで一番小さな州の料理の話をするなら、まずフォンティーナのことを理解するのが大前提、という訳で、イタリアを代表するチーズの話をしていました。
次は、ヴァッレ・ダオスタの名物料理、ズッパ・ヴァルぺリネーゼの話です。
この料理は、アオスタの北にある小さな村、ヴァルペッリ―ネが発祥地。
ヴァルペッリ―ネ。
ズッパ・ヴァルぺリネーゼ
ズッパに入れるサボイキャベツは霜が降りた後のものを使います。霜が被ったキャベツは柔らかく、すぐに火が通って味もよい、とイタリアの人は硬く信じています。
材料はフォンティーナ、鍋で煮込んだサボイキャベツ、パンチェッタ、ラルド、軽くトーストした黒パンを組み合わせ、コクのあるブロード・ディ・カルネで覆ってオーブンでゆっくり煮詰める料理。
煮汁がほぼなくなって費用面に薄い焼き色がつくまで熱します。そのためにはこまめにオーブンをチェックすることが必要。パンが乾きすぎるようなら熱いブロードを少量足します。オーブンから出したらチーズが固まらないうちに皿に盛り付けます。
ピエモンテやヴァッレ・ダオスタではズッパに入れるパンにはローストの焼き汁をかけます。これは料理にコクを加える大切なポイント。本格的に作るなら、肉をローストした時に焼き汁を取っておく(濃すぎる時はブロード大さじ数杯で薄める)。ローストの焼き汁がない時は溶かしたバターで代用します。
濃厚で様々な素材の味が重なった料理です。
ズッパ・ディ・ヴァルペッリ―ネ。
そもそもズッパはドイツ語のスライスして濡らしたパンという意味のsuppaが語源。これがロンバルド語のsupfaとなり、さらにトスカーナではzuppa、フリウリではzufとなり、フランス語ではsopeとなった。そのため、ズッパにはミネストラと違ってぬらしたパンというい意味がある。
ミネストラはミネストラ―レminestrare という言葉が語源。食事を運ぶなど様々な意味がある言葉だが、その中の一つにスープを注ぐという意味がある。
ズッパは、イタリア料理には珍しく、ドイツ語由来の言葉ですが、その中に登場するパンは、山の上では、他の地方の普通のパンとは大きく違います。
ライ麦パン。
山のパンはいわゆる黒パン。年に数回しか作らない、質素なイメージでも祭りの食べ物だった。主に高地で一番普及している穀物、ライ麦で作った。年に数回しか作らず、最初の数日はフレスコで食べた。その後は1年かけて納屋で乾かし、パンコットなどにして食べた。
トスカーナのパンコット。
厳しい気候と痩せた土地、物流が困難な地域、山の食事のベースは、牛乳とポレンタ、そして野菜のミネストラ。
わずかな材料で作る本質的で個性的な、人間と自然の結びつきを象徴する料理。
これをコンテンポラリーにする、というのが今月のリチェッタのテーマ。現代人には、山の料理はかなり理解が難しい料理ですが、このボリュームのある野菜料理をもっと軽くする、というのが最大のテーマ。
詳しくは次回。
記事の内容は以前の(CIR)や販売している書籍から引用しています。
動画は日本語の字幕付きでご覧ください。
この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.4。
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