今日のお題はイタリア料理の基礎、トマトがベースのソースについてです。
トマトソースは言うまでもなくイタリア料理の基本中の基本。
トマトソースのパスタの基本は、ラグー・アッラ・ボロニェーゼ、ラグー・アッラ・ナポレターナ、アマトリチャーナ、アッラ・ノルマ、アサリやツナ入り、プッタネスカなど、トマトソースのバリエーションは無数にあります。
ここで肝心なのは、パスタはどうやって造られ、美味しさを生み出すポイントは何なのかを知っておくこと。
過去のブログでも、パスタの話題の時に詳しく取り上げてきました。
グラニャーノのパスタ。
ちなみに、グラニャーノが工場生産パスタの発祥地として知られ、パスタの聖地になったのは、海に近いので軽く湿り気を帯びた風が吹き抜けるという独自の局所気候のおかげで、風味があっても煮崩れないという最高のパスタ作りに必要な、ゆっくり乾燥させるということが可能だったから。
パスタは小麦粉がベースなので、甘味があります。この甘味にトマトのマイルドな酸味はよく合います。
これはピッツァにも当てはまります。
トマトの不溶性の繊維は適度に加熱すると水分をつないでクリーム状にする働きがあります。
そのためにパスタに均一にからめることができます。
栄養の面では、トマトには抗酸化作用の高いリコピンという物質が含まれています。
リコピンは加熱すると効果が高まります。
ソースに使われるトマトは大部分が生のもので、中でもラマーティとぺリーニという品種が適している、と考えられています。理想的なのはやや酸味があるものを購入して冷蔵庫以外の風通しの良い場所に3~4日置いて完熟させる方法。
トマトのバリエーション。
生トマトを使ったソースは、どれも缶詰のトマトで代用することができます。
トマトソースに厚みを加えるには、玉ねぎを加えて甘味をプラスしたり、香草を加えたりします。
では、トマトソースにおろした硬質チーズは合うのでしょうか。
トマトの酸味は、栄養的にはチーズに含まれるたんぱく質の消化を助けます。ただ、味の観点からすると、トマトソースに香草を散らしたり、バターでマンテカーレして甘味ととろみを加えることはあっても、硬質チーズだと、高い塩分がトマトの酸味と重なって、デリケートな風味を邪魔してしまいます。これはあくまでも一般論で、最終的には個人の好み次第ですが・・・。
次号の(CIR8月号)には、“トマトのスパゲッティ”という記事があります。
ここでは、トマトの酸味と麺の太さについて、最適の組み合わせがあれこれ考察されています。トマトは生で食べるので大切なのは甘さ、という考えがみじんもないイタリア人のトマトソース論は、なかなか面白いですよ。
トマトソースのパスタの味は、小麦粉の甘味、トマトソースの酸味、チーズの塩味、さらにはトマトの品種によるミネラル分、パスタが吸い込む水の量が影響するそうです。
トマトソースにまつわるナポリ人のうんちくは、めんどくささと紙一重ですが、スパゲッティにケチャップをかけるという発想は、ナポリでは絶対生まれないことは、よくわかります。
下の動画のシェフは、おじいちゃんのトマトソースだと言って、おじいちゃんが呼んでいたように、トマト(ポモドーロpomodoro)ではなく、トマトのナポリなまりのpumarolaプマローラと呼んでいます。若者から見ると、絶滅危惧種なんだろうなあ。
ここ数日、トマトソースのリチェッタを色々見てきましたが、気になったのは、acqua di pomodoro。この話、次号に続きます。
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