2022年5月30日月曜日

唐辛子がコロンブスがアメリカから持ち帰ったものだったことを考えると、世界は辛さにまだ慣れていないはず。でも、辛さの追及はとどまるところを知らない。

今月の(CIR)の唐辛子のリチェッタには、ディアボリッキオdiavolicchioのほかに、カペッツォロ・ディ・シンミアcapezzolo di scimmia、アヒ・オムニカラーaji omucolorといった名前の唐辛子が登場しました。どれがどれだけ辛いのか、想像もつきません。
これまでにも何度か唐辛子の記事を訳しましたが、必ず登場するのが世界一辛い唐辛子。
でも、毎回違っていて、唐辛子の世代交代は熾烈を極めるようです。
リチェッタからわかるのは、唐辛子入り、つまり辛い、ということを意味するネーミング。
パスタの場合はアッラ・アラビアータall'arrabbiataとしたり、ストレートに辛い、という言葉、“ビッカンテpiccante”、 sugo piccante di pomodoro(スーゴ・ビッカンテ・ディ・ポモドーロ)などと呼んでいます。さらに、鶏肉の場合にぴったりなのが、“ディアボロdiavolo”という呼び方。
鶏肉のアッラ・ディアボロ。なぜ悪魔風、なんて呼ぶのか、それに関しては、この料理のルーツがあまりに古すぎて、発祥地を含めて詳しいことは全く分かっていないようなので、なんとなく、唐辛子風味で辛いから、とか、開いて平らに押し潰して焼く姿が地獄の業火に焼かれる姿を連想させるから、といった、印象論ばかりの仮説しか見つからなくて、申し訳ない。
ただし、今月の(CIR)のP.25の鶏肉のディアボロ風味は、まぎれもなく、カラブリアの唐辛子、ディアボリッキオを使うから、と言い切ることができます。
唐辛子がヨーロッパに広まるのはコロンブスがアメリカから帰ってきてからだから、そんなに昔の料理には使われていないはず。辛いから地獄風、という説はあまり説得力ないです。
開いた鶏で作る悪魔風は、フライパンで焼きますが、このリチェッタの料理は丸鶏のローストです。詳しいリチェッタはP.25をご覧ください。

鶏肉のアッラ・ディアボラ。

カラブリアの気候や土壌は、唐辛子にぴったりでした。
世界中に広まった唐辛子ですが、ヨーロッパ人は辛い味に慣れていなかったはず。
唯一の例外が、唐辛子に魅了された国、ハンガリー。
ハンガリー料理と言えば、グーラッシュ。そしてパプリカ。

ハンガリーのパプリカ

ハンガリーの人はパプリカがかかっていない料理は想像できないと言っています。
唐辛子は北ヨーロッパには縁がなさそうですが、南ハンガリーは日照時間が長いためにパプリカがよく育つんだそうです。カラブリア人とハンガリー人は気が合いそう。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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