2022年5月29日日曜日

唐辛子は期待したほど儲からず、貧乏人のスパイスと呼ばれ、教会からは欲望を喚起すると因縁をつけられたが、庶民には大人気であっという間に広まった。

唐辛子の話題に突入です。(記事とリチェッタの翻訳はCIRP.20~)
コロンブスによって南米から伝わった食材と言えば、トマト、じゃがいも、とうもろこし、カカオ、唐辛子など多岐にわたります。
そもそもコロンブスは、スパイスを求めて旧大陸へ旅立ったような気がするのですが、彼が見つけたものは、スパイスと言えるのかちょっと疑問。
それでも、スペインの宮廷に届けられた翌年には、植物学者が栽培を始め、70年後にはスペイン中に広まったのでした。
ヨーロッパに伝わった新種の野菜たちは、トマトもじゃがいもも、毒があると敬遠されたり、食用より観賞用として育てられたりと、なかなかすんなりとはヨーロッパに受け入れられませんでした。
唐辛子は、そもそも新種のスパイスを手に入れて大儲けをしよう、と望んでいたヨーロッパの宮廷に、のぞんでいたほどの儲けはもたらさなかったようです。それどころか、“貧乏人のこしょう”と呼ばれていたのです。
こんなあだ名がつくということは、貴族に取っては唐辛子はステイタスシンボルではなかったわけで、さらに、この辛さは、教会からも嫌われました。
欲望を喚起するから追放!となったのです。
でも逆に、安くて食品を保存するのに便利な唐辛子は、貴族や教会からは嫌われても、庶民の間で大人気になりました。
そしてヨーロッパ中に広まっていきます。イタリアで一番人気が出たのは、カラブリアでした。今や、カラブリアの食文化のシンボルにまでなりました。
現在世界中で2千種類以上の唐辛子が栽培されているそうです。
そしてそのほぼすべての品種がカラブリアにはあります。

カラブリアで栽培されている唐辛子。
どれも意外と可愛い。

カラブリアで一般的な唐辛子はディアマンテで栽培されているディアボリッキオdiavolicchio。

ディアマンテの唐辛子祭り


カラブリアの人は、どんなアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノを作っているのか気になりました。
下の動画で、まず最初に言ってるのが、自分で栽培した唐辛子を使っているということ。
その品種は世界一辛いキャロライナ・リーパーでそうです。
だけど、辛すぎてアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノには向かない、とも言っています。
そこで登場するのがカラブリア産のディアボリッキオです。
実際に使うのは、やっぱりこの品種。カラブリアの人にとってはこの唐辛子こそが世界一。さらに作り方もカラブリアの流儀で作るのだそうです。



・パスタ用の湯に塩を加えるのは甘くするため。
・イタリアンパセリをみじん切りにする。
・にんにくを潰してクリーム状にする。
・フライパンにたっぷりの油を熱し、にんにくを入れる。にんにくはこんがり焼き色がつく程度に熱し、焦がさないようにする。
・種ごと刻んだ生唐辛子1~2本を加える。
・ソッフリットにゆであがったパスタを加え、唐辛子とイタリアンパセリのみじん切り少々を加えてマンテカーレする。

アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノのポイントは、地元の自家製唐辛子を使うことと言い切ってました。さすがはカラブリア人。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

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