『クチーナ・イタリアーナ』誌の地方料理の連載、“ベルイタリア”は、イタリア20州の食材や料理、食文化をイタリア人ならではの視点で詳しく紹介する面白い記事でしたが、全部の州を取り上げて、残念ながら終了しました。
そして新しく始まった連載が、今度は、『家族のリチェッタ』です。
家庭料理がベースになっているイタリア料理の、イタリア人しか知らない姿がよく分かる記事です。
イタリア料理は農家で代々伝わる各地の伝統料理の集合体、というのはよく知られていることで、農家の暮しは、料理書などで詳しく伝えられています。
でも、今回取り上げたのは、都市の中産階級の家庭料理です。
農家の料理は親から子へと口伝で伝わりますが、都会の中産階級は、料理が得意でない奥様のために、料理人を雇いました。料理人はその家の子供にとっては、農家の母親と同じような役割を果たしていました。今月紹介している料理人は、小学校2年生までしか学校に通わなかったのですが、腕によりをかけて料理を作り、子供の頃の思い出には、必ず彼女の料理が登場しました。そして彼女の料理で育った子供たちは、大人になって、彼女の料理を本にしたのです。
そこには、イタリアの中産階級の子供たちがどんな子供時代を過ごすのかが、料理人への温かい記憶とともに記録されていました。
その温かい料理を紹介したのが今月の家族のリチェッタ(日本語訳はCIR、P.37)です。
下の動画は老人ホームの料理人の女性。なんだか、昔の家庭の凄腕料理人をイメージさせます。
この家庭に取って、ドルチェは牧師館で信者たちのおしゃべりの時間のために出されるもの、という扱いだった、という面白い話。
牧師館の信者のおしゃべりというと、自動的にブラウン神父とマッカーシー夫人が浮かんできちゃいます。
とにかく、この家の子供たちにとって、厳格な父親のお陰でお菓子は、かなり特別な存在で、カーニバルか誕生日にしか食べられなかったのでした。なので料理人は、特別に子供たちのためにドルチェみたいなオムレツを作って出したのでした。
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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』
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