2023年8月1日火曜日

野草入りマルファッティは、道端の草とそれを食べた羊のリコッタから作る究極の地産地消料理。

(CIR)6月号はもうすぐ発売予定ですが(8/10頃)、今日は5月号のまだ取り上げていなかった料理の1つ、マルファッティmalfatttiの話です(リチェッタの日本語訳はP.4)。
マルファッティはロンバルディアはブレッシャの伝統料理。

ブレッシャBrescia。
マルファッティmalfatti。

ロンバルディアのプリーモ・ピアット。ニョッキの一種です。
リコッタとほうれん草の生地で、野草が入るのが特徴。
野草が入ることがこの料理の特徴を物語っています。
野草は、道端に生えているただで手に入る食材です。人間が食べるだけでなく、放牧されている羊も食べました。そしてそのミルクから作るリコッタと、パンが材料のこの料理は、ある意味、質素そのものの農民料理。ただし生物多様性の豊かな自然の宝庫でなければできない料理でもあります。地元の本物の産物をふんだんに使える地産地消を証明する料理でもあります。
ロンバルディアは、意外なことに、カンパーニアに次いでイタリアで2番目に人口が多い地方。面積に至ってはイタリアで一番大きな州。そのせいか、山、丘、平野、河、湖、森と様々な地形があり、水が豊かな地方としても知られています。水が豊かな平野では豚や牛が飼われ、平野ではヤギの群れが夏の牧草地へと移動する移牧の地で、様々な乳製品が造られました。
チーズ、バター、生クリーム、マスカルポーネ・・・。これらはロンバルディア料理の重要な要素です。
主要な穀物は米。そして主要な産物はバター、チーズと続きます。ロンバルディアのチーズはパダナ平野の特産物、グラナ、ストラッキーノ、平野で放牧されるヤギのリコッタ。
今日の料理、マルファッティは、野草入りのおかげで質素さが強調されていますが、最近では、この野草はイラクサの若葉やホップの芽など、グルメな食材を使う傾向があります。今回のリチェッタも、シレネという野草を使っています。

シレネ。

シレネは新ほうれん草で代用できますが、最近はカラフルなスイスチャードなどで代用することが多く、質素な野草というイメージは消えていきました。

スイスチャード。

ほうれん草とリコッタのニョッキで思い出すのがラバトン・ピエモンテージ。そっくりの料理でした。

アレッサンドリアのラバトン、ピエモンテージRabatòn piemontesi。




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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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