2025年3月6日木曜日

ヴァッレ・イザルコ地方の人たちが全てを捧げるトルゲレン。

今週は栗の話をしてますが、アルプスで最も広大な栗の森があるのがヴァッレ・イザルコ地方。海に囲まれているイタリアは、夏は地中海沿岸のリゾート地が主役ですが、秋はアルプスです。

ヴァッレ・イザルコ

初心者のためのトルゲレンの解説

初心者向き解説2。まずトルゲレンの前にトレッキング。


初心者向き解説3。女性はエレガントな服は着ないこと。帰り道用のヘッドランプも必要。


初心者向き解説4。トルゲレンくださいと注文はしない。オステリアの主人はトレッキングして空腹の客にどんどん料理を出す。ビールは飲まない、ビールはオクトーバーフェストに送ってるから、飲むのは新ワイン、グラッパ、ノチーノなど。

初心者向き解説5。トルゲレンは周りの人たちと一緒に楽しむ。

これだけマスターしたら、後は実践あるのみ。

地元の人達はトルゲレンにすべてをささげています。

旧『総合解説』2006/2007年9月号の『クチーナ・イタリアーナ』の記事、“ヴァッレ・イサルコ”には、
「オーストリアとの国境のブレンネロ峠からボルツァーノまで、80㎞に渡って続くドロミテ山脈の渓谷地帯」とあります。
栗の木に覆われた山が赤や黄色に色づきだすと、名物のチーズやサラミ、ワイン、栗がおいしくなる季節がやってくる。この辺りには“マージ・デッラ・フラスカ”と(フラスカは小枝を束ねたもので、営業中の目印に使う)と呼ばれる農家のオステリアがたくさんあって、焼き立てのパンや自家製チーズ、スペックなどを味わうことができる。

ヴァッレ・イザルコ地方には“トルゲレン”と言う習慣がある。(ラテン語で“搾る”という意味のtorquereが語源)。
ぶどうを収穫してモストを搾ったら、近隣や身内を集めて発酵前のモストや、樽から出したばかりの新ワイン“ノイエン”の味見をするのです。
昔は一緒にスペック、シュッテルブロートというライ麦パン、クルミを食べた。今ではもっと豪華になって、ラビオリの一種、シュルツクラブフェン、大麦のミスネストラ、サルシッチャ、ザワークラフトなども添える。クネーデルやグーラッシュのズッパを出す店もある。
ヴァッレ・イザルコ地方では、毎年栗祭りが開催され、地元のレストランでは前菜からデザートまで栗が主役の様々な料理を出す。

ヴァッレ・イザルコのレストラン。

ヴァッレ・イザルコの洗練された美食の街、ブレッサノーネ。

もうすっかり、ヴァッレ・イザルコのトルゲレンを体験した気分。

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2025年3月5日水曜日

アルト・アディジェの栗の道は、アルプスでもっとも広大な栗の森、ヴァッレ・イサルコ地方にある。

秋の女王、栗。意外なことにイタリアはヨーロッパ最大の栗の産出国で、その50%はカンパーニア産でした。
旧『総合解説』2011年10月号の『クチーナ・イタリアーナ』誌の記事、“アルト・アディジェの栗の道”によると、
「ブレンナー峠とボルツァーノの間のヴァッレ・イサルコ地方は、ぶどう畑、集落、修道院、農場が点在する栗の森だ。アルプスでもっとも広大な栗の森でもある」とあります。

ヴァッレ・イサルコValle Isarco

ヴァッレ・イサルコの産物

栗は森の住人に取っては古くからの栄養源。山の厳しい暮らしに耐える作物は限られるのに、樹に自然に実るなんて、素晴らしい森の恵み。栗は大切な栄養源であり、飢饉の時の食料で、まさにアルプスのパン。でんぷんの含有量が高く、炭水化物、鉄、リン、カリウム、ビタミンC、ベータカロテンを含み、南チロル地方では欠かせない食物。

アルト・アディジェの栗の道

ヴァッレ・イサルコ地方では毎年栗祭りが開かれますが、渓谷の大部分の農場の有名なイベントは、
トルゲレンtörgglen。

ぶどうの圧搾機のトルキオが語源での古い風習で、新ワインを味わうために農民たちが山小屋に集まってワインを飲みながら歌って過ごす賑やかな祭り。ヴァッレ・イサルコは山歩きと美味しいものが好きな人には最高の場所。

ヴァッレ・イサルコの味

トルゲレンの話は次回に・・・。

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2025年3月4日火曜日

秋の森の恵みの代表は、パンの樹、と呼ばれる栗。

今日のお題は(CIR11月号)の今月のパスタ。
11月のパスタは“栗のパスタ”。

まずは栗の話。
2011年11月号の『総合解説』には、『サーレ・エ・ペペ』誌の栗についての記事がありました。
それによると、
「ニョッキ、ズッパ、ミネストラ、さらにフリッテッレ、カスタニャッチョといったドルチェと栗は、イタリア中の伝統料理で使われていて、50年代まで、森で暮らす人々にとって栗は欠かせないものだった。
詩人のパスコリは栗のことを「パンの樹」と呼んだ。
多様な顔を持つ栗は、田舎料理と洗練された美食のどちらにも使われる」
「大きな栗はマロングラッセや、赤肉や白肉の付け合わせになる。ゆでてピューレにすればトルタ・サラータのベースや、モンテビアンコなどのドルチェになる」
「栗はイタリアの森に遥か昔から生えていた。アペニン山脈からカラブリアまで、イタリアの森の環境にとてもよく適合し、どこでもすくすくと育った。特にカンパーニアを中心に、カラブリア、ラツィオ、ピエモンテ、トスカーナに多く見られる。
イタリアの栗の総生産量の50%はカンパーニア産だ」
とあります。
「今でもイタリアはヨーロッパで最大の、世界では3位の栗の産出国だ。数の上だけでなく、イタリアには数多くの品種が存在する。その中でも12品種はヨーロッパでも上質の栗として知られている
一般的にマッローニmarroniとは大型の栗(カスタ―二ェcastagne)のことを指す」
そうです。

イタリアはヨーロッパで最大の栗の産出国で、50%はカンパーニア産、とは、かなり意外。

田舎の栗料理の典型、カルダッロステCaldarroste。

栗の収穫

カスタ―ニャとマローネの違い。両者の違いを説明する動画はたくさんあります。イタリア人はみんな知ってるのでしょうか。

基本的にはマッローネは楕円形で皮が薄くて筋があり、渋皮はむきやすい。丸ごとのごろっとした実が必要なローストの付け合わせに適している。工場での加工にも向いていて、マロン・グラッセ、カンディート、ラム酒漬けやグラッパ漬けに加工される。
カスタ―二ェは丸みを帯びた形で皮が厚く、渋皮が実に食い込んでいてむきにくい。皮をむいて水や牛乳でゆでてミネストラ、ヴェッルタータ、詰め物、コンフェットゥーラなどに使う。干し栗や栗の粉にも使う。

ローストポークのカスタ―二ェ添え

出典は『総合解説』2011年11月号に載せた『サーレ・エ・ペペ』の記事。

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2025年3月3日月曜日

ガットーは名前はなんちゃってフランス風だが、バター以外すべての材料はナポリ産の、典型的なナポリ料理。

(CIR11月号)の地方料理、まずはサルデーニャの野菜のフォカッチャ、“コッコイ・エ・ビルドゥーラ”。
今日は2品目、“パプリカのナポリのガットー詰め”(日本語のリチェッタはP.13)。

名前にもある通り、ナポリの人気料理です。

じゃがいものガットー。

ナポリ料理の研究家、ルチアーノ・ピニャタロの本、『リチェッテ・ディ・ナポリ

によると、じゃがいものガットーは典型的なナポリ料理の田舎風トルタで、1768年のマリア・カロリーナの披露宴の際にフランス人の料理人が伝えた。ただフランス料理ではなく、材料はバター以外、すべてナポリ料理ではおなじみの食材。バターは北の食材で、南では豚の脂身かオリーブオイルを使った。当時、トマトはまだ伝わっていなかった。ガットーという名前の語源はフランス語のケーキという意味のガトーgâteau。フランス人料理人モンズ―がナポリのドルチェの中に広めた。
ハプスブルグの女帝、マリア・テレジアの娘でナポリとシチリアの女王、マリア・カロリーナ。それにしてもナポリ人は貴族嫌いはかなり徹底したていたようで、こんなところに結婚しに来るなんて怖かったでしょうね。

2006年/2007年10月号の記事、“じゃがいものガットー”に、こんなことが書いてありました。ナポリ料理の権威ある本の著者、イッポリート・カヴァルカンティ。この本に登場する料理には、イタリア語、フランス語、ナポリ方言をミックスした、一風変わった名前がついている。シャルロットは“チャルロッタ”、ガトーは“ガットー”といった具合です。
ご存じのようにイタリア語でガットは猫のことなので、検索すると、可愛い画像がたくさん出てきます。

本の序文でカヴァルカンティは、フランス語の発音をイタリア語に当てはめて新しい言葉を作りだしたことを告白している。読者の大部分はフランス語を理解しないだろう、と考えて、当時貴族の間で流行していたフランス風の料理を、分かりやすく紹介するためにやった、と白状しているのです。

(CIR11月号)のガットーは、パプリカに詰めたもの。パプリカを美味しくて美しい器として使っています。


じゃがいものガットーは、アントレとしてサーブしてもよいし、軽いセコンド・ピアットの前の1品にしてもよい。少量をローストのコントルノにすることもできる。残ったら翌日に室温でアペリティーヴォと一緒にサーブしてもよい。その場合は四角く切り、オリーブ、ケッパーを巻いたアンチョビ、オイル漬けのドライトマトなどのトッピングをするのもおもしろい。

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2025年3月1日土曜日

野菜のフォカッチャや野菜のピッツァと呼ばれるサルデーニャ料理、コッコイ・エ・ビルドゥーラ。ヘルシーで軽い1品。お好み焼きにちょっと似てる

今日は(CIR11月号)から、地方料理のリチェッタ。まずは“コッコイ・エ・ビルドゥーラCoccoi 'e birdura”。
コッコイて、いかにもサルデーニャな名前ですね~。まず間違いなくサルデーニャ料理。日本語のリチェッタはP.11。写真もあります。大雑把に言うと野菜のフォカッチャ。いわゆるサルデーニャの野菜のピッツァ。

コッコイ・エ・ビルドゥーラ


(CIR)のリチェッタの特徴はじゃがいもやフリアリエッリ入りという点。夏野菜がピッタリですが、かなりアレンジの範囲は広そう。

サルデーニャのパーネ・コッコイ


サルデーニャのパンの世界は深くて面白そう。

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