このところアルト・アディジェ(スッドチロル)の牧歌的風景ばかり見ていたので、こんなところに避暑に行きたいなどと、思わずお気楽な感想を抱いてしまいましたが、この地方の名物料理、カネデルリの背景にあるものを知ってちょっと反省。
この地方の農民は、家族のために温かい夕食を作ろうとするとき、当然ながら台所にあるものをチェックします。そしていつも同じものを発見します。堅くなったパン、牛乳少々、スパイスです。余裕があれば肉かサラミも少しはあります。
このわずかで質素な材料から作るのが、北イタイリアの基本の料理、オーストリアから伝わったカネデルリです。
生地のバリエーションが豊富で、簡単に作れて栄養価が高く、冬の寒い日にピッタリの料理です。
スッドチロルのカネデルリ。
スッドチロルの冬。
ウインタースポーツのパラダイスだなあ。
山の家の中は、温かくて元気が出る料理の香りに満ちています。
どうやらこの地方のおいしいものを知りたかったら、スキーヤーに聞くといいみたい。
この地方とは、ドロミティ・アルプスです。
スキーの他に、マルガ巡りもこの地方ならではのこと。
マルガとは牛飼いが夏を過ごす山小屋のこと。
この地方にあるロヴェレートは、オーストリアとの絹貿易で栄えた街。
ゲーテがイタリア旅行の最初に訪れて、まだ子供のモーツァルトがイタリアで初めてコンチェルトを演奏した街。
ロヴェレート。
アルト・アディジェ料理は北の山の、ドイツやオーストリア、ハプスブルク家の影響を受けた中央ヨーロッパの料理です。現在のオーストリアの一部と合わせてチロル地方と呼ばれましたが、第一次大戦後に南部だけイタリアに属するようになりました。
北の山は厳しい暮らしをしていると思いきや、ウインター・リゾート地として発展し、アルタ・クチーナが広まり、グラン・シェフたちの店もたくさんあります。
北のアルタ・クチーナのリーダー、サン・ウベルトゥス
この地方のmagraは牛飼いが夏を過ごす山小屋、masoは農家風レストラン。
マーゾ。
やっぱりこの地方には牛がよく似合う。
この地方にはラディー二という古代ケルト人を先祖に持つ独特の文化を持つ人々が住み、かつては海に覆われていたとか、まだまだ興味高い背景があって、深堀しだすと抜け出せなくなります。
ブログ『イタリア料理ほんやくざんまい』
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』
(CIR)2020年1月号、(CIR)2020年2月号、(CIR)2020年3月号、(CIR)2020年4月号、(CIR)2020年5月号、(CIR)2020年6月号、(CIR)2020年7月号、(CIR)2020年8月号、(CIR)2020年9月号、(CIR)2020年10月号、(CIR)2020年11月号、(CIR)2020年12月号、(CIR)2021年1月号、(CIR)2021年2月号、(CIR2021年3月号)、(CIR2021年4月号)、(CIR2021年5月号)、(CIR2021年6月号)、(CIR2021年7月号)
“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズ
『スーゴとソース』
『カッチャジョーネ』
[creapasso.comへ戻る]
0 件のコメント:
コメントを投稿