パーネ・クンザートの話をしてきましたが、そのベースはパン。
シチリアのパンは、マファルダというごま付きパンです。
アラブから伝わったごまを散らした、とぐろを巻いた蛇の形をしたエキゾチックなパンで、パレルモのシンボルでしたが、カターニアのパン職人によってマファルダというサヴォイア家のお姫様がシチリアを訪れた時に捧げられて島中に広まったパンです。
マファルダ。長さ20~23㎝、重さは200~300g
シチリア人のシチリアのパンへの愛着は強烈。この店はシチリア産の最高の小麦と最高のオイル、最高の天然酵母を使っていると胸を張っています。
下の動画では、まず、小麦粉メーカーが開発した特殊な小麦粉について力説しています。
小麦粉への情熱、すごいです。
マファルダMafalda
材料/
小麦粉Molino Casilloの“オリジネ1番タイプの小麦粉(強い小麦胚芽を含む1番の粉、w350)”・・1㎏
炒りごま・・50g
イースト・・10g
塩・・22g
水・・500g
モリ―ノ・カシッロ
・生地は天然酵母やビーガを使ってもよいですが、今回は、小麦胚芽の強い香りが特徴の新製品の小麦粉を使うので、材料は、小麦粉、イースト、塩、水、ごまのみ。水は55~75%。
・発酵させたパン生地を150~200gにカットして中央から端に向かって棒状に伸ばす。
・生地をたたみ、端を上にのせて止め、ごまをまぶす。
・動画では、“オッキ・ディ・サンタ・ルチア”と呼ばれるシチリアの典型的なパンも作っている。ひよこ豆のフリット、パネッレをはさむのに最適なパン。
・成形した生地を1時間30分発酵させる。
・230℃のオーブンで45秒蒸気を当てながら焼き、仕上げの15分は蒸気を止め、仕上げの5分は扉を開けて乾かし、表面をカリッとさせる。
パン職人もアルティジャナーレな職業ですね。イタリアにはピッツァ職人という職業もあります。
ローマ風ピッツァの大御所、ガブリエレ・ボンチは、『ピッツァ・ヒーロー』というイタリアの地方料理のパンの本を出しています。
ガブリエレ・ボンチ。
その中で、シチリアについては、こんなことを書いています。
「私は、シチリアのストリートフードは無視できない性分で、ストリートフードの屋台の前を通ると、すべて味見せずにはいられなくなる。セイレーンに呼ばれるユリシーズのようなものだ。パレルモのスフィンチョ―ネはピッツァの近い親戚だが、アンチョビ、玉ねぎ、オレガノ、ラグザーノチーズでリッチにしたトマトをのせる。パレルモにはひよこ豆のフリット、パネッレをはさんだパンもある。有名なアランチーニや、カ・メウザもある・・・。
こんな調子で次から次へと続いて終わる気配がない。マファルデについては、パレルモの典型的なパンで、レモンかおろしたリコッタかカチョカバッロを散らすと美味しい、と書いている。」
次回に続く。
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