2023年10月30日月曜日

リグーリアのムスコリ・リピエーナやアンチョビは、土地がなくて牛や豚の飼育ができないリグーリアと、肉の保存食が豊富にあったポー河沿岸のエミリア・ロマーニャ地方、山の上で塩がないピエモンテとの貴重な物々交換品だった。


今月の(CIR)は偶然ムール貝料理が重なりました。
プランクトンが豊富な海ではムール貝が美味しくなって養殖が盛んに行われていたようです。
ムール貝の養殖に携わる人は、海の農民(contadini del mare)と呼ばれていました。
地元の経済を支える重要な産物だったんですね。

ラ・スペツィアのムール貝の養殖。

フランス人のお客が多い、というラ・スペツィアの観光客に人気のレストラン。
彼らに人気の料理はムール貝のリピエーニ。

ムール貝の養殖が行われているのは“詩人の湾golfo dei poeti”と呼ばれる場所。バイロン、ゲーテ、シラーなど、19世紀のロマン派の詩人がその美しさに触発されて詩を作ったという湾です。

golfo dei poetiは近くにチンクエ・テッレもある国際的で風光明媚な観光地。
グルメに注目なのはムール貝だけでなく、モンテロッソのアンチョビも有名。

詩人の湾。

モンテロッソのアンチョビ。

モンテロッソのアンチョビは山に住み、塩が不足していたピエモンテやロンバルディアの人によく売れた。北イタリアの産物との物々交換の商品だった。
そしてムール貝は、エミリア・ロマーニャのポー河沿岸の平野でチーズやサラミ、生ハムを作る人たちとの物々交換の産物だった。土地がなくて牛や豚の飼育がしにくいリグーリアで
は、肉の保存食材が求められていた。

ムスコリ・リピエーニは、モルタデッラやグラナ・パダーノ入り。リチェッタは(CIR/8月号)P.32。


北と南の食文化は、どちらか一方だけでなく、互いに支えあいながら発展していったのですね。

次はプーリアのムール貝のリピエーニ。


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ブログ『リブレリア・クレパッソ』(クレアパッソに入荷した本)
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