(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)8月号、今日の料理はナポリ風ガスパチョです。
ガスパチョは、もちろんイタリアの地方料理じゃありません。
スペインやポルトガルの農民の冷たいスープです。特にトマトのガスパチョは有名。
で、トマト、スペインとくればイタリアでは、イコール、ナポリです。
そもそもトマトは中米原産で、スペイン王室のバックアップを受けたジェノバ出身のコロンブスによって、スペインが支配していたナポリのサンマルツァーノに伝わりました。
19世紀初めにはフランチェスコ・チリオによってトマト缶が発明されて保存・移動が可能になり、ナポリのトマトは世界中に広まりました。
それ以来、缶の中でも崩れなくて、種が少なく、皮が薄くてむきやすい缶詰に適したサン・マルァ―ノ・トマトの知名度は、世界的になりました。このサン・マルツァーノ・トマトは、20世紀初めにカンパーニア北部のサルネーゼ・ノチェッリーニ平野の火山性土性で栽培されていた品種を交配して作りだされました。火山性土壌で支柱栽培で栽培されたトマトは土で栽培して機械で収穫するトマトと比べて真っ赤になるそうで、それだけで日曜日のご馳走になりました。
ところが、サン・マルツァーノは一時安い交配品種に押されて消滅の危機を迎えます。
もしこの品種が消滅していたら、カンパーニア人の、最高のトマトの産地という強固なプライドも、消え去っていたでしょう。もちろんサン・マルツァーノを消滅の危機から救ったのは、カンパーニア州とチリオ研究所でした。
サン・マルツァーノ・トマト。
サン・マルツァーノの歴史もこのくらいにして、今年は、トマトの冷たいスープの話です。
ナポリ料理を語る時は、まずナポリのトマトのことを知るべし。
====================================
ブログ『イタリア料理ほんやくざんまい』
ブログ『リブレリア・クレパッソ』(クレアパッソに入荷した本)
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』
“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズ
『スーゴとソース』
『ハリーズ・バー』
[creapasso.comへ戻る(hpはシステムのトラブルで長期間更新していません、あしからず)最新情報はすべてブログでお知らせします]
====================================
0 件のコメント:
コメントを投稿