2023年10月24日火曜日

火山性土壌と豊かな水がある平野で支柱栽培されるサン・マルツァーノ・トマトは、土で栽培して機械で収穫するトマトより色が鮮やかで味が強く、酸味は弱かった。チリオの缶詰になって世界中に広まりました。

(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)8月号、今日の料理はナポリ風ガスパチョです。
ガスパチョは、もちろんイタリアの地方料理じゃありません。
スペインやポルトガルの農民の冷たいスープです。特にトマトのガスパチョは有名。
で、トマト、スペインとくればイタリアでは、イコール、ナポリです。
そもそもトマトは中米原産で、スペイン王室のバックアップを受けたジェノバ出身のコロンブスによって、スペインが支配していたナポリのサンマルツァーノに伝わりました。
19世紀初めにはフランチェスコ・チリオによってトマト缶が発明されて保存・移動が可能になり、ナポリのトマトは世界中に広まりました。

それ以来、缶の中でも崩れなくて、種が少なく、皮が薄くてむきやすい缶詰に適したサン・マルァ―ノ・トマトの知名度は、世界的になりました。このサン・マルツァーノ・トマトは、20世紀初めにカンパーニア北部のサルネーゼ・ノチェッリーニ平野の火山性土性で栽培されていた品種を交配して作りだされました。火山性土壌で支柱栽培で栽培されたトマトは土で栽培して機械で収穫するトマトと比べて真っ赤になるそうで、それだけで日曜日のご馳走になりました。

ところが、サン・マルツァーノは一時安い交配品種に押されて消滅の危機を迎えます。
もしこの品種が消滅していたら、カンパーニア人の、最高のトマトの産地という強固なプライドも、消え去っていたでしょう。もちろんサン・マルツァーノを消滅の危機から救ったのは、カンパーニア州とチリオ研究所でした。

サン・マルツァーノ・トマト。

毎年夏がくるとトマトの話題が必ず登場します。
サン・マルツァーノの歴史もこのくらいにして、今年は、トマトの冷たいスープの話です。

ナポリ料理を語る時は、まずナポリのトマトのことを知るべし。


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