今日は(CIR)12月号からクリスマスの伝統ドルチェ。
まずはリグーリアのサルザーナのスポンガータ(リチェッタはP.25)。
発酵させないフロッラ生地にドライフルーツや蜂蜜を詰めたリグーリアの伝統のタルト。スポンガータは各地にあるクリスマスのドルチェで、エミリア地方やローマ、ユダヤのドルチェとしても有名。微妙に名前が違うクレマのスポンガルダspongarda di cremaはロンバルディアの伝統料理リストにも入っています。ここではサルザーナのスポンガータと呼んで他の地方のものとは区別しています。
ちなみに動画に出てくるトッローネはリグーリアの隣のピエモンテの伝統的ドルチェ(リチェッタはP.26)。
発祥地が定かではなく、各地で作られているスポンガータ。
サルザーナのドルチェとしての伝統を守り伝えていくのは、こういったパスティッチェリーアなのでしょう。
逆に正統派ともいえるのがシエナのパンフォルテ。イタリアのクリスマスを象徴するドルチェです。ベースとなるスパイスの配合は各家庭独自のもの。
サルザーナは小さな要塞都市ですが、リグーリアの太陽がちょっとまぶしい。
要塞都市というのは外敵から自らを守るのは教会ではなく市民だ、という、教会が支配する時代の終焉を感じさせる町の形態ですが、スポンガータは、教会で考え出されて貴族の間に広まり、やがて市民の手へ、つまり家庭へと移っていったその過程にも歴史が感じられるドルチェです。
サルデーニャのパーネ・ディ・モストは、サーバというモスト・コット入りのドルチェ。甘いいモスト・コットが砂糖の代わりでした。
サルデーニャの食文化はあらゆるものが独特。
こうして各地のクリスマスのドルチェを見ていくと、ある共通点に気が付きます。
クリスマスのドルチェは、手に入るものの中で最上のものを使って作られているのです。ベースは蜂蜜やドライフルーツ。そこにオリエントから伝わったスパイスや新大陸から伝わったカカオが加わります。砂糖は長い間貴重な贅沢品でした。甘みに使われたのは、もっぱら蜂蜜です。
そもそもクリスマスのドルチェは教会の高位聖職者のために作られました。
ナポリのストゥルッフォリもプーリアのカルテッラーテも仕上げに蜂蜜をかけます。
ストゥルッフォリ・ナポレター二
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