2022年12月8日木曜日

バッサ・パルメンセの霧と職人技が作るクラテッロ。

今日のお題はクラテッロculatelloです。
(CIR)12月号の記事には(P.43)、いきなり、こんな印象的な言葉がありました。
「クラテッロのカンティーナには主人と霧だけが入ることを許されている」
クラテッロはバッサ・パルメンセと呼ばれる地方で造られています。ここは霧の地方です。霧は寒い季節にポー河の南側のポレジーネからコロルノにかけての地方を覆います。秋のこの地方の肉屋の祭りは、「11月には霧が出ますように」がキャッチフレーズ。
サルーミ造りは10月から2月の寒い季節に始まる。
バッサ・パルメンセはパルマとピアチェンツァの間のポー川右岸の肥沃で穏やかな平野。ポー河が君臨するこの地域は夏は猛暑で蚊と湿気が多いが、この地区はイタリアで最高のサルーメの産地として知られている。
そうそう、ポー河右岸はパルミジャーノの産地でもあります。
バッサ・パルメンサのチーズ製造所

クラテッロのカンティーナ

クラテッロ・ディ・ジベッロ

バッサ・パルメンセのクラテッロ

この地方では牧草が良く育ち、それを食べた牛がたっぷりミルクを出し、チーズを作る。そして残りは豚の餌になる。だから養豚業や豚肉の加工業も盛んになった。
クラテッロの原料は豚の霜降りのもも肉。
洋梨型に成形し、塩、スパイス、ワインを肉にすり込むサラトゥーラの作業は、クラテッロ造りの真髄。完全に職人の手作業で、熟練の技が必要。
このあたりも、クラテッロが最も値段が高いサルーメな理由かも。
豚の膀胱に詰めて糸でぐるぐる巻き、水気を切って最低12ヵ月乾かす。最初の2か月は風通しの良い環境で、残りは湿度の高い、霧の中のような環境で熟成させる。熟成期間中はカンティーナの窓を開けると午後に霧が立ち込めてクラテッロを撫でてゆく。

ブルーノ・バルビエリシェフの『ビア・エミリア・ビア・ダ・カ―ザ

には、この地方の子供たちは、家の近所に川が流れていて、子供の頃はおばあちゃんに連れられて、みんなで河で遊び、泳ぎを覚えた、という思い出がつづられている。彼はその後、海に惹かれるようになり、クルーズ船の料理人として働くようになる。
そういえば、今月の(CIR)の記事に《ポー河添いのラビオリ》というのがありました。
この地方はサルーメだけでなく、詰め物入りパスタも名物でした。
この話は次回に。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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今月の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の食材の記事は、“ブッラータとモッツァレラ”。 リチェッタも数品紹介されています。 1品目はブッラータのジェラート。 純白のジェラートで、見た目はとても美しいのですが、残念ながらブッラータのジェラートの動画は見つからなかったの...