生ハムprosciutto crudoなら、パルマの生ハム、サン・ダニエーレの生ハム、モデナの生ハム、プロシュット・トスカーノ、ノルチャの生ハムなど。
イタリアでこれだけ生ハムが各地で作られていた原因は、労働と戦争が続いた古代ローマにある、という説があります。
サルーミは栄養価が高く、第二次大戦後まで常に不足してい貴重な動物性たんぱく源。
雑食性の豚はすぐに太り、毎日家庭の生ごみや都市の周辺の広葉樹の森の草を食べて太りました
昔は、森の広さをはかる時は、そこで餌を食べている豚の数を数えたそうです。
先日、『ブルーノ・バルビエリ/ビア・エミリア』という本を読んで、豚を屠殺するシーンでかなりの衝撃を受けてトラウマになりましたが、クラテッロの産地で豚をおいしくいただくために潰すのは寒くなる季節、つまり11月末から1月末にかけて。ノルチーノと呼ばれる職人が呼ばれて2~3日かけて肉をさばき、その間はワインとたっぷりの料理がふるまわれて祭りのようになりましたが、子供が手を出すことは許されなかったそうです。
この季節には祭りも行われて、豚のカロリーの大部分が蓄えられている脂肪と、貴重なたんぱく質の赤身肉を味わうことができました。
そして余った部位は少しでも長く保存しようと知恵を凝らしました。
イタリアは地方によって気候が様々なので、様々な保存方法が考え出され、その結果、こんなに様々なサル―ミが誕生します。
パルマの生ハム
今日のお題はサン・ダニエーレの生のハムです。
ジベッロのクラテッロは、霧を活かした製法。
パルマやフリウリのサン・ダニエーレの生ハムは、北からやってきて定住したケルト人が伝えたもの。サン・ダニエーレの丘は、北とつながる街道沿いの要所でした。
ケルト人は豚肉を長期間保存するために塩漬けという方法を用いた最初の民族。
サン・ダニエーレは、ウーディネ県の丘の上にあり、北からの冷たい空気、アドリア海からの暖かい空気、タリアメント河の流れが作用して、天然のエアコンのような効果が生まれる地方。ジベッロとは反対に、湿度が低くて風通しがよい地方です。
正反対の気候の地方では、塩漬け豚肉を長期間保存すると、熟成が進み、意図せずに風味豊かな塩漬けが誕生したのでした。サン・ダニエーレの生ハムの特徴は強い香りとデリケートな味。そしてももの先についた足。
サン・ダニエーレの生ハム
サン・ダニエーレで毎年6月に開かれる生ハム祭り、アリア・ディ・フェスタのは期間は製造所を開放する所も。
=====================================
ブログ『イタリア料理ほんやくざんまい』
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』
(CIR)2020年1月号、(CIR)2020年2月号、(CIR)2020年3月号、(CIR)2020年4月号、(CIR)2020年5月号、(CIR)2020年6月号、(CIR)2020年7月号、(CIR)2020年8月号、(CIR)2020年9月号、(CIR)2020年10月号、(CIR)2020年11月号、(CIR)2020年12月号
“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズ
『スーゴとソース』
『カッチャジョーネ』
[creapasso.comへ戻る]
0 件のコメント:
コメントを投稿