すでに取り上げたアルナのラルドと、ブレザーオラというだけでも、その幅の広さに驚きますが、この地方には、まだほかにも名物腸詰めがあります。
モチェッタmocettaです。鹿のハムなんて呼ばれてますが、ジビエのstambeccoやcamosioの腸詰めです。これらの動物は山の羊飼いたちが仕留めた獲物でした。昔は重要なたんぱく源だったようですが、現在ではヤギなどで代用することもあるようです。
肉に塩や山のハーブをまぶしして木やテラコッタの容器で2週間熟成させ、6日間乾かします。さらに風通しの良い場所で3~4週間吊るして干し、主にトーストしたパンやバターを添えて前菜として、またはオイルとレモン汁をかけて黒パンと蜂蜜を添えたり、ゆでたじゃがいもと一緒にサラダにしてサーブします。
モチェッタ
豚肉の加工品、ジャンボン・ド・ボスJambon De Bosses
というのもあります。標高1800mの、ヨーロッパで一番高い場所で造られている山の生ハムです。アルティジャナーレな作り手は約20軒という貴重品。
それではブレザーオラのサーブについて。
豚の脂身の塩漬けは、ソッフリットに加えて溶かしてスーゴにするのが基本でしたが、
牛肉の赤身のブレザーオラは、熱しないで、冷たいままサーブします。
その代表がインボルティーニ。下の動画では広げたブレザーオラにクリームチーズを塗ってルーコラをのせ、インボルティーニに巻いていますが、厚めにスライスして4つに折り、コーン型にして中にロビオーラを牛乳で伸ばしたクリームを詰めるというリチェッタもあります。
有名なのはフォンドゥータfonduta。フォンティーナfontinaが主役。
次はベルザとフォンティーナの冬のスープ、ズッパ・バルペッリネンツェZuppa valpellinentze。フォンティーナと黒パンを重ねてブロードで覆い、オーブンで熱する1品。ベルザの代わりに米を使うこともあるそうです。
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バッレダオスタのライムギパン。
昔は、パンは年に1、2回しか焼かなかったそうです。黒パンは高地で育つ穀物、黒いライムギの粉のパンで、村中総出でパンを焼くのは冬の訪れを告げる儀式でした。焼いたら天井裏で干して保存し、各家庭に分けて1年間保存し、牛乳、ブロード、ワインに浸して毎日たっぷり食べました。ラルドやモチェッタも黒パンを添えて食べました。11月には、いちじく、くるみ、レーズン、栗などが登場して、黒パンは、祝日のご馳走になったそうです。しかもそれは主に司祭や妊婦の食料になりました。な、涙ぐましい。
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