「豚の脂肪は一部の専門外のマスコミや若者からは、欠点とみなされている。
ハムに含まれる脂肪は12〜15%だが、若者を始めとする多くの人がやるように外側を切り落とせば4%は減らすことができる。ただし、これは味の点からすれば犯罪だ」
余談ですが、先日、イタリア人の青年がテレビで、今日の夕飯は冷凍食品をチンすると言ったらおばあちゃんに殺される、と言っていたのを見たばかりだったので、(スタジオは大爆笑でしたが、豚の脂身を切り落としたら犯罪だ、と言うイタリアのおばあちゃんなら、夕飯はチンすると言ったら殺されるかもね、とすんなり納得したのでした。
それにしても、昨今はコレステロールの知識が普及して、ちょっと嫌われている豚の脂身。
現代のおばあちゃんたちは、これは偏見だ、とバッサリ切って捨てて、相手にしません。
豚の脂身は20世紀初めの農民にとっては貴重な食べ物でした。
両者の共通点は、カッラーラの大理石です。真っ白くて不純物がないカッラーラの大理石は彫刻には最適でした。
アルナのラルド。
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サルーミの脂身は、脂肪の形のカロリーでした。でも、現代人に必要なカロリーは昔と比較するとかなり少なくなっているので、昔と同じ価値があるとは言えなくなりました。
豚の脂身は、ラードとして料理や調味に使われていました。かつて最も一般的なのが豚の脂身でした。
豚の背と脇腹の脂身を塩漬けにしてハーブとスパイスで香りをつけたのがラルドです。
カロリーがありすぎて、ヘルシー志向の現代人には敬遠されがちですが、美食家たちには熱烈に受け入れられているサルーミです。
イタリアのグルメたちは、上質の食べ物を表現するとき、歴史上の大物と絡めるのが得意です。
グルメで知られるオペラ作家のベルディなんかはあちこちでその逸話が引用されていますが、ラルドに登場するのは、ミケランジェロです。
ミケランジェロの常人離れした創造力の源は、ラルドだったの?
いやいや、そうではなさそうです。
ヒントは彼の彫刻の傑作、サン・ピエトロ大聖堂にあるピエタです。
ミケランジェロのピエタ。これを制作した時、ミケランジェロは23歳でした。
そしてこれがラルドの製造過程
ラルドはトスカーナのコロンナータのものが有名ですが、山のラルドと呼ばれるヴァッレ・ダオスタのアルナのラルドというのもあります。こちらは栗の木とガラスの桶で熟成させます。
コロンナータのラルドは別名中世のラルドと呼ばれ、地元の大理石の桶で熟成させます。
両者は使われている香草が違うために香りが違います。
ラルドは黒パンとヤマモモの蜂蜜、ソラマメを添えたり、プルーンをラルドで巻いてさっとオーブンで焼いたり、うさぎやジビエなどの赤身肉に巻いたり詰めたりしても美味しくいただけます。車エビのブランデー焼きなど、甲殻類との相性も抜群です。にんにく、イタリアンパセリと一緒にみじん切りにして瓶詰にしたものをソッフリットに加えると、パスタソースにもなります。
ラルデッラーレは、赤身にスティック状に切ったラルド、パンチェッタ、生ハムの脂身などを繊維に沿って差し込んで脂の少ない部位にコクや香りを加える調理方法。
ラルデッラーレ。
ところで、最近の豚肉のコレステロールは、現在飼育されている豚の遺伝上の特徴を見ても、トウモロコシがベースのオメガ6多可不飽和脂肪酸が豊富な餌を食べているので、かつてに比べて豚肉やサルーミに含まれるコレステロールは大幅に減少し、牛肉や鶏肉と同等かそれ以下になっている、というのが豚肉業界のコレステロール論争に対する反論。文句のつけようがないです。
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