2022年12月7日水曜日

サルトゥは貴族料理か、ストリートフードか、パスティッチェリアか。

今日は昨日の訂正が1つあります。
ナポリで一番豪華な料理、サルトゥ・ディ・リーソについて。
ナポリ料理は残り物を有効利用することが得意だけど、さすがにこの料理には使わないだろう、と思ってそう書いたのでした。
ところがその後、『SALE & PEPE』2021年1月号に、シチリアのティンバロについて、こんなことが書いてありました。
「シチリアのティンバロは貴族のフランス人料理人が作って広めたフランス系料理ですが、具に残り物を詰めることがありました。そしそてこれがナポリに伝わってサルトゥになりました」
おっとー。『山猫』でおなじみのシチリアの歴史を感じる高貴な料理ティンバロが、ナポリに伝わると、残り物を入れたサルトゥになるですとー!?
失礼しました。昨日の内容を訂正させていただきます。
山猫(GATTOPARDO)のティンバロ

サルトゥ・ディ・リーゾ


『サーレ・エ・ペペ』のティンバロの記事には、これまで見たことがないような、新しいティンバロのリチェッタが登場しますが、米は姿を消してパスタが主役で、よりナポリ料理感が強めです。記事を書いた人はイタリア料理の本の編集者として知られ、多数の本を出版しているカルロ・カンビさんでした。さらにアマルフィのパスティッチェリアでシェフでもある、サルヴァトーレ・デル・リーゾさんも加わっていていました。

彼は、サルトゥはサヴァランと同じ型を使うパスティッチェリーアのイメージが強い料理、ティンバロを貴族料理とナポリのストリートフードに分けるポイントは、パスタにある、と語っています。

カルロ・カンビの『ミリオーリ・リチェッテ・デッラ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ(伊・英)』

ティンバロはフィレンツェの貴族料理やカテリーナ・デ・メディチとも関係があります。
そもそも彼女がこれをフランスに伝えたと信じられています。
イタリアとフランスの料理史の転機となったカテリーナとフランス王の結婚。

当時はまだトマトが伝わっていなかったので、フランス料理は真っ白でした。サルトゥも白かったので、イタリアにはあまり広まらなかった、と考えられています。トマトが伝わると、料理は赤くなります。中でもトマトが良く育つナポリの料理はトマトソースで真っ赤になりました。赤いソースはカテリーナ以上に世界の料理を変えました。ナポリ料理にトマトが加わったのは19世紀になってから。
ナポリのトマトが世界中に広まるにはピエモンテ人のチリオのトマトの缶詰の発明を待つことになります。


ピエンノロ・デル・ヴェスビオ。

サルトゥ・イン・ビアンコ



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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シチリア出身のシェフがミラノで出した店は、その名もイカの卵。イカの卵はベネチアのチケッティの珍品中の珍品でした。

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