2022年12月20日火曜日

チッチョ・スルタノのシチリア魂。そのベースはオイル、麦、塩。

今日、クリスマスの思い出を語ってくれるのは、チッチョ・スルタノシェフです。
30歳でパスティッチェリーアのギャルソンになり、その後スパゲッテリーアで働いて人気店にし、多くの年月を海外で過ごし、シチリアに戻ってラグーザで自身の店リストランテ・ドゥオモを開き、ミシュランで2つ星を獲得した、現在のイタリアを代表するシェフの一人です。
ラグーザのリストランテ・ドゥオモ

 彼はこう語っています。世界を巡り、ドイツやニューヨークで働いた後、私の島、私の故郷に帰ってきました。私は料理人です。あらゆるものの味と触感を五感を駆使して追求します。私の料理は常に大地と海の間や家庭や旅の記憶、アルタ・クチーナとストリート・フードの間にありますが、常にデリカシーは忘れません。
人の手で丹念に作られた食品を使う料理には、人間と自然が現れます。
美味しいワインのように、その品質は、まず畑に現れ、そしてカンティーナにも表れます。シチリア人の私にとって、ベースとなる食材は、オイル、麦、塩の3つです。そこに何世紀も続く島の伝統、文化を纏っています。それと同時に、シチリア人は変わることや越えていくことを恐れません。それは島のルーツが深く根を張っていることを知っているからです。クリスマスも同様です。
クリスマスは家族で祝います。12月25日には家族全員が集合して伝統料理を食べます。料理はいつも同じ。カッボーネのリピエーノ、手打ちのパスタ・イン・ブロード、そしてドルチェ。叔母さんたちが造って持ってきた料理も欠かせません。料理は家族の共同作品です。
妻は、各家庭の自慢の詰め物をしたラグーザの美味しいフォカッチャ、スカッチャ・ラグザーナscaccia ragusanaの担当です。我が家では、アンチョビ、イタリアンパセリ、ドライトマト、玉ねぎ、カチョカバッロ・ラグザーノを詰めます。
スカッチャ・ラグザーナ。


リチェッタ;
材量/4人分
シチリア産パン用硬質小麦粉・・600g
生イースト・・11g
塩・・小さじ1
ぬるま湯・・約250ml
EVオリーブオイル・・大さじ2
細かく刻んでオイルと塩で調味したトマト・・最低800g
バジリコ
カチョカバッロ・ラグザーノの小片・・200g

・小麦粉に塩を加える。
・イーストをぬるま湯で溶いて小麦粉に加える。オイルも加える。
・水を加えながらこねて滑らかな生地にしてまとめ、十文字のクープを入れる。覆いをして1.5~2時間発酵させる。
・生地を薄い円形に伸ばす。
・トマトを塗り、バジリコとカチョカバッロをのせて三つ折りにする。
・再びトマトを塗ってバジリコとカチョカバッロをのせ、三つ折りにして天板にのせる。フォークでピケする。
・200℃のコンベクションオーブンで30~35分焼く。

バリエーション

スカッチャはラグーザを中心とするイブレイ地方のフォカッチャ。
代表的な詰め物はトマト、なす、カチョカバッロ、アンチョビ、リコッタ、フィノッキエット入りサルシッチャですが、季節や場所によってバリエーションは豊富。
生地は硬質小麦粉、オイル、イースト。発酵させて薄く伸ばしたら、具をのせて数層に折りたたんでいきます。または半月型に閉じてオーブンで焼きます。

二人の姉は、ブロード用のパスタ、クアドルッチやシクリのクリスマスのビスコッティ、イアッドゥッチiadduzziを作ります。

モディカとシクリ。

シクリのイアッドゥッチ。

・詰め物を作る。鍋に蜂蜜500g、水500gを入れてアーモンドプードル100g、オレンジ1個の皮のすりおろし、シナモンを加えて中火で熱する。
・かき混ぜながら硬質小麦粉400gを少しずつ加え、鍋肌からはがれるようになるまで熱する。天板に移して完全に冷ます。
・表面の生地を作る。硬質小麦粉500g、卵1個、ラード50g、ベーキングパウダー1/2袋、砂糖100g、水少々をこねて締まった生地にし、ラップで包んで冷蔵庫で30分休ませる。
・詰め物を絞り袋に入れる。
・生地を麺棒で薄く伸ばす。幅8㎝に切って巻き、長さ8㎝に切る。両端に切込みを入れて天板に並べ、180℃のオーブンで13分焼いて冷ます。
・グラッサを作る。粉糖300g、卵白2個、レモン汁とレモンのエッセンス少々をホイッバーで混ぜる。これを刷毛でビスコッティの表面に塗り、室温で乾かす。

カチョカバッロ・ラグザーノ。


スパイスがたくさん入るあたりは他の地方のクリスマスのドルチェと同じですが、オレンジやアーモンドプードルが入るのがやっぱりシチリア。




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