2022年12月12日月曜日

生ハムやサラミ、つまりサルーミ。今日はスモークが特徴のスペック。

お題はクラテッロからその他の生ハムに移りました。
そもそも豚の塩漬けはなどの保存食品、サルーミは、使われる肉の部位によって、プロシュット、コッパ、パンチェッタなど単一の部位を使ったものと、赤身と脂身の挽肉をミックスしたサラミに分けることができきます。
前者は長いもので2年以上の長期熟成が可能ですが、サラミは数か月で出来上がります。
少しでも長く保存する方法が、各地で考えられてきました。
寒くて太陽光が乏しい地域で考え出された乾燥方法は、暖炉の熱を利用したスモークです。
そしてその代表が、アルト・アディジェの名物、スペックspeckです。
産地の南チロルは、イタリア最北端にあります。ドロミテ山地のあるところです。
この地方の住民は、古代ケルト人などを先祖に持つラディ―ニと呼ばれる人たちで、独特の言葉を話す少数民族。自らの個性と伝統を守り育ててきた人々で、荒々しい自然と雪に閉ざされる厳しい冬と共に生きてきました。
料理は山が与えるものを最大限に活用して作られます。
昔、オーストリア・ハンガリー帝国の一部だったため、オーストリアとイタリアの食文化が混ざり合っていて、オーストリアの一部と合わせてチロル地方と呼ばれていましたが、第一次世界大戦後に南部だけイタリアに属するようになっています。

ラディーノの人は小学生ですでに4~5か国語を話すそうです。
下の動画、牛が可愛すぎて話が入ってこない・・・。

アルト・アディジェのスペック

スペックは塩気も風味もマイルドで個人的には大好きな生ハム。

地方の産物を紹介する本には、大抵、その地方特産の腸詰とチーズがずらっと紹介されています。
豚肉という原料を、北から南まで個性豊かな各地の気候に合わせて保存する方法が考え出されてきたのがサルーミ。アルト・アディジェのスペックの産地は、《ドロミテのリビエラ》と呼ばれているそうです。スペックに使われている地元の主なスパイスはジュニパー。ジンの元になるスパイスです。標高1000mでも育つそうです。もっと下ではりんごを育て、ワインも造っています。もちろんミルク、さしてチ―ズも。最終的な味の決め手となるのはスモーク。薪にはぶなの樹だけを使っています。そして仕上げは標高1200mの澄んだ山の空気。

この地方を代表する料理人、ノルベルト・ニーダーコフラーシェフの森の子豚のジュニパー風味。

精油が豊富なジュニパー。

スペックの生産者の店。スペックのフィンガーフードをケイタリングしてくれる。



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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