2022年7月8日金曜日

数軒の農家が集まって牛を飼育し、牧草を育てることから始めたベネトの共同牛舎は、今ではバイオガスで発電までしている。

グラナ・パダーノとパルミジャーノ・レッジャーノ。
イタリアのチーズの王様とか、イタリアの宝とか呼ばれるこの2つのチーズは、よく似ていますが、違います。
その違いは・・・?
知っていそうで意外と知らないかも・・・。
生産者の視点から見ると、それは生産地区の違いです。
ということについて、昨日のブログで今月の(CIR)の記事(P.18~)からざっと紹介しました。
チーズのベースはミルク。餌の産地の環境など、牛が食べたものがチーズには大きく影響します。
グラナ・パダーノもパルミジャーノ・レッジャーノも、名前に産地が隠されています。どちらにも共通なのが、パダーノ平野。
東のアルプスから西のアドリア海まで広がる、イタリア最大の肥沃な平野。
まさに、パルミジャーノもグラナ・パダーノもポー河流域の平野一体に広まったチーズ。
この地区の中で、牛乳の製造も、チーズの製造も、チーズの熟成も、パッケージも行われています。

パダーナ平野


やはりベースは牛乳。この牛乳をどう扱うかは生産者の総意をまとめて管理組合が決める。
この地区の牛舎は4000軒、乳製品製造所は142軒、熟成庫は150軒、パッケージ製造所は200軒で、計約5万人が働いている。2019年には約26,7000頭の牛から3,754,193個のパルミジャーノを造った。

チーズの味を作るのは牛が食べたものと乳酸菌。つまりパダーノ平野の自然環境そのもの。それは生産者の誇り。
パルミジャーノの生産地と多様性という動画↓

世界で一番多く販売されているチーズ、グラナ・パダーノは、子孫のグラナ・ロディジャーノとして19世紀に最盛期を迎えたが、その後、牧草地の減少や、ブラウンスイス種からホルスタイン種への切り替えが進み、自然発酵ではなく、乳清を添加する製法や塩水でなく塩をまぶす製法の普及、長期熟成が敬遠されるなどによって、グラナ・パダーノならではの特徴があるホエイの滴のあるチーズが減少していった。
数は減ったが、今でも昔ながらの製法と、地元産のミルクにこだわる生産者はいる。
グラナ・パダーノの主要な作り手の1つ、ズッケッリでは、ミルクは製造所から6㎞以内のものを使用している。

CASEIFICIO ZUCCHELLI, WEBページはこちら


1969年にベネトの村の農家が集まって牧草地を所有し、共同牛舎を作り、牛を飼育するようになった。現在は肉牛も飼育し、ワインを造り、バイオガスの電力を造っている。

牛を育てることの大きな可能性を感じますねえ。

昔の『総合解説』(旧CIR)から《牧草の香りのチーズ》という記事をみつけました。どんなチーズがあるのか、詳しくは次回に。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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シチリア出身のシェフがミラノで出した店は、その名もイカの卵。イカの卵はベネチアのチケッティの珍品中の珍品でした。

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