バッカラはメルルーサを天日と風で干したもの。イタリアではもっとも一般的な魚の保存食だが、原料となるメルルーサは地中海産のものではなく、北の海で採れる。
海洋共和国として強力な力を持っていたベネチアは、バイキングの時代から北欧の干し魚を取引していた。新大陸発見後はカナダ産がヨーロッパに大量に出回るようになる。おもな輸入先はイタリア、スペイン、ポルトガルだった。
これらの国々からも想像されるのが、キリスト教との結びつきだ。金曜日と四旬節の間は肉を食べない、というキリスト教の教えのおかげで、バッカラは海に面していない地方や内陸にも普及した。そして安価で味もよいバッカラは、あっと言う間に国民食となる。ただ、戻すのに時間がかかるのが欠点だが、そのおかげで家庭料理というよりは、トラットリアやオステリアで食べる料理となった。
ベネチアの名物として知られるバッカラだが、ジェノバやメッシーナ、アンコーナのストッカフィッソのような強い味を生かしたものと違い、ベネチアのバッカラ料理はできるだけマイルドで口の中で溶けるような味にするのが好まれる。
バッカラ料理は弱めの火でじっくり加熱するのがポイント。
バッカラ・マンテカートは、バッカラの最もマイルドな料理。
下の動画はベネチア風バッカラ・マンテカート。
付け合わせのポレンタまで作るとなると、家庭では絶対無理。
クロスティーニかポレンタを添えるのが一般的だが、セロリに詰めて前菜にしてもよい。
ヴィチェンツァの有名レストラン、ダ・レーモDa Remoの名物料理、バッカラ・アッラ・ビチェンティーナbaccalá alla Vicentina。
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