2022年7月1日金曜日

ポレンタは焼き色を付けただけで、ご馳走になる。

今日から(CIR)9月号のリチェッタの話です。
まず、アンティパスト1品目は、ポレンタ・ドゥーラ。
リチェッタの日本語訳は(CIR)P.2。
ポレンタは、一言で説明すると、とうもろこしのお粥です。

最高のポレンタの粉の産地として知られるトレンティーナのストーロ渓谷のポレンタ祭り↓

水と粉と火があれば手軽にできて、熱く、柔らかく、腹持ちが良い料理として、古代ローマ時代には普及していました。
ポレンタはトウモロコシの粉で作るものというイメージですが、アメリカ大陸発見前から存在していました。粉はソラマメ、チェーチ、大麦、ファッロなどの粉が使われました。

-ポルチーニ入りファッロのポレンタ↓

材料
ファッロのセモリーノ・・500g
水・・2ℓ
塩、EVオリーブオイル
生や冷凍、乾燥ポルチーニ・・200g
にんにく・・2かけ
イタリアンパセリ、グラナ

・フライパンにEVオリーブオイルとにんにく2かけを熱し、焼き色がついたら取り除く。ポルチーニを加える。
・その間に水2ℓを沸騰させ、油と塩少々を加える。沸騰したらかき混ぜながらファッロの粉を振り入れてダマができないようにかき混ぜる。火を弱めて25~30分煮る。
・ポルチーニに塩とイタリアンパセリのみじん切りを加える。半ばで水少々を加える。20分煮て火を止める。
・ポレンタが煮上がる5分前におろしたパルミジャーノ150gを加えて混ぜ込む。
・こしょうとポルチーニを炒めた油少々、ポルチーニ少々を加えて混ぜ込む。
・セルクルを使って皿に盛り付け、ポルチーニをのせる。グラナの薄片とイタリアンパセリを散らしてサーブする。

コロンブスによってトウモロコシが新世界から伝えられると、食の世界に革命が起きました。
とうもろこしは鍬も使わずに栽培できて、たった3か月で収穫できました。どんな植物よりも豊かに実りました。
イタリアに伝わったとうもろこしは、べネトをはじめとする北部や中部に広まり、基本的には北イタリアの食材と考えられています。

ポレンタは18世紀の民衆の主食となります。そのため、農民の間ではナイアシンが欠乏するペラグラ病が蔓延しました。必須アミノ酸の一つのナイアシンの額有量が少なかったのです。でも、原因が分かり、調味料などで栄養分を補うようにしてこの問題は解決します。
ポレンタの食べ方は地方によって違いました。
ラツィオやアブルッツォでは柔らかいポレンタを食べますが、ベルガモやヴェローナでは固めたポレンタを食べます。
粉の細かさや水の量によってポレンタの堅さは変わります。出来立ての香ばしい熱々や、ニョッキにしたり、オーブン焼きのパスティッチョにしたり、冷ましてオーブンで焼いたり、フリットにすることもできます。
トウモロコシの粉にはグルテンがないのでそのままではつながりません。バターや卵、コーンスターチ、他の粉などでとろみをつけることはできます。こうして作ったドルチェは各地にたくさんあります。
黄色いとうもろこしの粉は、別名黄色い金、と呼ばれます。この黄色は、ゼアキサンチンという抗酸化作用がある色素で、カルシウム、亜鉛、カリウムなどのミネラルが豊富です。動物性たんぱく質と組み合わせると良質の栄養源になります。

ソフトポレンタ↓


ポレンタ・ドゥーラ、別名グリルド・ポレンタ↓
ただポレンタを固めてグリルで焼いただけなのに、黄色い麺についた縞々の焼き色は、香ばしそうで美味しそう。これにパルミジャーノの小片を添えただけで、ご馳走です。

ベネチアでワインのつまみと言えば、チケッティ。チケッティのベースのポレンタもポレンタ・ドゥーラ。
ベネチアのポレンタは、基本は白。白いポレンタは魚に合います。下の動画のポレンタは焼かずに冷まして固めたポレンタがベース。

ポレンタは、こんな涼しげな渓谷の名物でした↓



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...