2022年7月20日水曜日

紀元1100年ごろ、ピサは敵対するフィレンツェの港を封鎖して塩の貿易を止めた。その結果生まれたのが、後にフィレンツェの食文化のベースとなる塩気のないパン、パーネ・ショッコ。

今日はトスカーナのパンの話。
パンは、文明のベースとしてトスカーナの食文化と深く結びついているだけでなく、キリスト教では神の愛やキリストの奇跡の象徴でした。

塩気のないパンさらに、トスカーナの塩気のないパン、パーネ・ショッコpane scioccoは、フィレンツェの象徴でもあります。


パーネ・ショッコ誕生のいきさつには諸説ありますが、よく知られているのが、中世、紀元1100年ごろ、フィレンツェとピサが戦っていた時、ピサの港の船の貿易を妨害して、街に塩が入らないようにしたため、という説。なんだかどこかで聞いたような話ですねえ。
でも、フィレンツェは農民の街、贅沢はせずに手に入るものでなんとかする、じっと耐えていればいずれは、という精神が行き渡っていました。
そしてもちろん、堅くなったパンや残ったパンも、一切を無駄にせず、美味しくいただく、という精神から、パッパ・アル・ポモドーロpappa al pomodoroやパンツァネッラpanzanellaといったフィレンツェの庶民料理の定番が生まれます。
イタリアの偉大な詩人、ダンテは、故郷フィレンツェの街を二分する争いに巻き込まれてフィレンツェから永久追放されます。ダンテは、『新曲』の中で、いつかフィレンツェに戻ってパーネ・ショッコを再び食べるとができる、という予言まで登場させてパーネ・ショッコ愛を語っているのです。
パーネ・ショッコとフィレンツェはこんなにも強く結びついていました。
パーネ・ショッコの料理には美味しくて、シンプルで、経済的というトスカーナ料理のエッセンスが詰まっています。
さらに食卓の中央に盛って、どんな料理にも合わせられる、という利点もありました。

パーネ・トスカーノDOP↓
パーネ・トスカーノpane toscano↓



材料
2番の軟質小麦粉・・1㎏
水・・600g
サワードウ・・300g

・小麦粉、サワードウ、水を混ぜて冷蔵庫で8時間発酵させる。
・打ち粉をした台でまとめて型に入れ、3時間発酵させる。
・クープを入れて240℃のオーブンで50分焼く。

パーネ・トスカーノは精製の粗い軟質小麦粉のサワードウのパン。




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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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