今日は、9月号を訳していて、一番記憶に残った文章を紹介します。
その記事は、『クチーナ・イタリアーナ』のチーズについてのものでした。
まず、最初の一文がかっこよかった。
「イタリアには500種類のチーズがある。そしてそのトップはパルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノという双子だ。
似ているとはいっても毎日食べている私たちイタリア人は、両者の個性や違いを知っている。
この2種類のチーズのことをもっともよく知っていて、語る資格があるのは、グラナ・パダーノ管理組合とパルミジャーノ・レッジャーノ管理組合だ」
パルミジャーノとグラナ・パダーノの違いを、イタリア人はどう説明するのかと思って楽しみに記事を読み進めていたら、グラナ・パダーノ管理組合の会長が、このチーズの誕生について、こう語っていました。
グラナ・パダーノはキアラバッレの修道院で、ベネディクト会の修道士によって、1135年ごろ誕生した。
ベネディクト会には、貧しい農民のためにミルクを1滴たりとも捨ててはいけない、という教えがあった。そのため、数か月から数年の熟成に耐えて長期間食べることができる硬質チーズが考え出されたのだ。
キアラバッレの修道院
ちょうど日本では、コロナで牛乳が余って廃棄するとか言っていたころです。
牛乳の有効利用方法を考え出したベネディクト会は素晴らしい。
ちなみに、ロックダウンによってイタリアではチーズの消費量が対前年比27.2%もアップしました。
グラナ・パダーノができるまで。
パルミジャーノ・レッジャーノも長期間保存できるチーズを作ろうとして修道士が考え出したチーズです。
両者がどんなチーズかは、1951年にヨーロッパの酪農家の間で名称と特徴を正確に定める、という決まりができ、生産地区や飼料、製法などが詳しく定められたのでした。
ヨーロッパという様々な国が陸続きの地域では、ズバッと明確に決めることが重要なのかも。
パルミジャーノ・レッジャーノは製造地区や熟成期間などの規定がグラナ・パダーノより厳しく、それが値段にも影響しているようですが、牛の餌についても、パルミジャーノ管理組合の考えは、かなり厳しい。
管理組合の創設者の前会長は、1930年代、サイロで保存した飼料の使用に反対していた。
これは、安ければいいではなく、上質のものは値段が高い、というイタリア人のアルティジャナーレな製品に対する考え方を示すいい例になっている。
例えばパスタは、グラニャーノのパスタや量産型パスタより高い。パルミジャーノも、グラナ・パダーノより高いが、これは、サイロで保存した飼料は使わない、などの考え方の結果だ。
パルミジャーノ・レッジャーノの原料は、ミルク、塩、凝乳酵素(カード)の3つのみ。ミルクは乳酸発酵を活発にするために加熱処理しない。微生物の構成には干し草など、産地の環境や牛の食べたものが影響する。パルミジャーノ・レッジャーノはすべて自然な状態で造られ、保存料などは使用しないことを強調している。
サイロの飼料を使うと生産コストは削減できる。パルミジャーノは地元の干し草を主体に与えている。最低50%はミルクの生産者と同じ生産者が製造したもので、最低75%は同じ現産地のものを使うことになっている。ミルクの製造地区はもパルミジャーノ・レッジャーノの一部の製造地区を除き、パダナ平野と定められている。この地区の中に、牛乳の製造、チーズの製造所、熟成庫、パッケージの加工場がある。
パルミジャーノ・レッジャーノができるまで。
イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノとアメリカのパルメザンチーズの違いは・・・。
管理組合の厳しい規定とは、まったく無縁の製品。
パルミジャーノのミルクの生産者。
熟成期間とか色々あるけど、牛がどこで何を食べて牛乳を出したかが重要なんですね。
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