今月の(CIR)のEVオリーブオイルの記事からは、ナポリのピッツァにかけるオイルは、トマトやモッツァレラなどのトッピングとの相性、なかでもトマトとの相性で決まる、ということが分かりました。
マリナーラに合うオイルとして挙げられたのは、イルピニア地方のオイルでした。
最初はなぜだか全くわからなかったのですが、この地方が、ベズビオ山のふもとのトマトの産地として名高い場所、というがヒントでした。
同じ土壌で栽培されたトマトとオイルの組み合わせだったのですね。トマトや草の香りがするオイルだそうで。
ナポリの伝統的なマリナーラと対極にあるピッツァ、つまりオリジナルのクリエイティブなピッツァの代表として選んだピッツァイオーロは、シモーネ・パドアン↓
彼はヴェローナ出身。ピッツァの頂点に君臨するナポリから解放されて、さらにその上を目指そうとした人で、トマトの呪縛からも解放されているピッッァイオーロです。
彼が目指すピッツァは、シンプルで伝統的で、同時に革新的なピッツァ。
彼が作ったピッツァに合うオリーブオイルに求められたのは、トマトの風味ではなく、エレガントで口の中の油を流すようなオイルでした。たぶん、このことも、ナポリから見ると革命的だったのでしょう。
このところずっと見てきたパーネ・ショッコなど、ドッピア・コットゥーラ(二度焼き)の製法の、外はこんがりと焼けて中は柔らかい生地です。
ベローナから30分の距離にある彼の店で作るピッツァは、北イタリアのピッツァを代表しているかも。“リグーリア”というピッツァの生地はまるでとても軽いパンのよう。トッピングはペコリーノ、タッジャスカオリーブ、松の実、バジリコ、スモーク・グアンチャーレ、ほうれん草。地方料理がベースのハイレベルな食材の組み合わせを楽しむピッツァでした。リグーリアというネーミングもぴったり。
マリナーラとマルゲリータばかり食べていた人には、相当新鮮だったでしょう。
結論として、これは家で食べるピッツァではない、リストランテで食べるものだと言っています。ピッツァが生まれた歴史などを考えると、新しいピッッァには抵抗が強いかもしれないですが・・・。ナポリから解放されると、それだけでも新しいものが生まれてきそうです。
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