2022年7月24日日曜日

オリーブオイルにはちょっと冷めているナポリのピッツァイオーロ。でも、オリーブを栽培してオイルを造る農園を所有するシェフたちの思いは熱かった。

オリーブオイルというキーワードでナポリピッツァを見てみると、トマトについて熱く語っているピッッァイオーロは多くても、オイルについては全然熱が感じられず、ちょっと肩透かし的な感じでした。
しかも、ナポリを代表するピッツェリア、ダ・ミケーレのオーナーは、店ではEVオリーブオイルは使わない、代わりに使うのは大豆油です、と堂々と明言。でも、その理由を聞いて、納得です。要は、トマトの風味や色を消さないような、無味で無色のオイルが必要だから、とのこと。ナポリのトマト愛はオリーブオイルに優先するほど強かったのですね。
それに引き換え、ドン引くほどじゃぶじゃぶオリーブオイルをかけていたのはリグーリアのフォカッチャ。オリーブオイルの産地リグーリアでは、当然トマトよりオリーブオイル優先。
オリーブオイルの話題はイタリア全国共通で熱いのかと思ったら、地域差がかなりあるようです。
そこで今月の(CIR)に話は戻ります。テーマは“ピッツァとフォカッチャにかけるオイル”です(P.37)。記事では、ナポリピッツァの代表としてマルゲリータに合うオイルを考察しています。
たぶん、かなりオリーブオイル愛が強い人の意見です。
そして選ばれたのは、オルティチェOrticeという品種のオリーブオイル。
聞いたことないけど、カンパーニアの品種だそうですよ。

ローマの有名レストラン、アガタ・エ・ロメロではオルティチェ単品種のオリーブオイルを自社生産して販売しています。アガタ・エ・ロメロと聞いて、南イタリアのパスタの名店を集めた本『パスタ/サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド

を思い出しました。
オルティチェのオリーブオイルはドバイのコンクールで金賞を取ったこともあるみたい。

アガタ・エ・ロメロのオルティチェのオリーブオイル。
店は閉店したが、ロメロは現在オリーブオイル造りに取り組んでいる模様。



そしてこの本の中で、ナポリを代表するシェフでも、オリーブオイルについて熱く語っている人がいました。ドン・アルフォンソです。
ドン・アルフォンソとアガタ・エ・ロメロの共通点は、自社の畑でオリーブを栽培し、オイルを販売しているという点。

地元の産物と深く結びついたドン・アルフォンソ。
レストランの理想郷を作り続けている。


さてオルティチェですが、この品種のオイルは、イルピニア地方のトマトや草の香りがする、と言われています。モッツァレラと組み合わせると面白いのだそうです。
マリナーラにはほろ苦さや薬草の風味があるノチェッラーラ・メッシネーゼなどが合うそうです。またマニアックな選択。
すでに置いてけぼり感が強いですが、さらに、ピッツァ・ビアンカや黄トマトの甘味があるピッツァには、イトラーナのオイルなど、もっとコントラストの強いオイルが面白い、と、もう完全に一般人の読者は置いてけぼりの超専門的なコメントになってきました。
イルピニア地方Irpinia。
ベズビオ火山の斜面で栽培されたミニトマト、ピエンノロ・デル・ベズビオの産地として知られる地方。

記事の中で、シモーネ・パドアンのブッラータとエビのピッツァという一般人にも少しはわかりそうな話がありましたが、詳しくは次回です。


=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
=====================================

0 件のコメント:

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...