2024年6月29日土曜日

イタリアのパスタはガラパゴス化がすごい。世界はついていけるか。

筋つきパスタの記事、訳してみたら、超専門的な最先端のパスタの話でした。記事の最後には、「現代の消費者はスパゲッティ、ペンネやフジッリなど伝統的なものには完璧を求めます」とあります。
ある意味、パスタの母国でのパスタのガラパゴス化ですね。
現代の科学技術があれば、どんなパスタでも作れる状況です。そしてその自信は200品種以上の小麦が違う方法で栽培されているという、硬質小麦の栽培に対する自信に基づいています。
そんなパスタメーカーが技術の粋を集めて作りだしているパスタをどう料理するのか、最終的にはシェフの腕と感性次第。(CIR3月号)では、リチェッタも紹介しています。
まずはパッケリ。カンパーニアのパスタパッケリは、ナポリ風パスタの代表の一つです。


パッケリ・リガーティは珍しいパスタみたい。ソースはゴルゴンゾーラとくるみという、ナポリの要素はみじんもないパスタ。パッケリは巨大なパスタで、ゆで時間もかかります。でも筋をつけると、ゆで時間が短縮されます。ナポリ人は嫌がりそうなアレンジですが、現代人の要望を取り入れると、こうなるんだろうなあ。

ゴルゴンゾーラとくるみのパッケリ・リガーティ。

(CIR)のパッケリ・リガ―ティのリチェッタは、もっとオーソドックス。玉ねぎ、アーモンド、サフランのソースです。一方、パッケリ・リッシは、もっとプーリア風で、ソラマメのクレーマとブッラータのソースです。
ブッラータはパスタとの相性も良いチーズ。リチェッタではミニブッラータを使っています。

ミニ・ブッラータ

ブッラータとエビのパスタ

ズッキーニとブッラータのメッジ・パッケリ・リガーティ。

ソラマメのクレーマはプーリア名物。パスタにもよく合います。

ソラマメのクレーマとブッラータは最強の組み合わせ。

もう少しナポリ風のパッケリはトマトソースなので赤い色。ゆで時間の長さなんて気にしない。

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価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

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現在販売している(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)バックナンバーは、2021年1~12月号です。
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2024年6月28日金曜日

筋つきパスタか筋なしパスタかは、イタリア料理の未来に直結するすごく大切な問題でした。イタリアのパスタが進む道は伝統と革新の融合。

(CIR3月号)の“筋付きと筋なしパスタ”の記事は、“スパゲッティ・アル・ラグー”のようなミスとか、“大抵、筋なしパスタは筋つきパスタより美味しかった”とか、容赦も忖度もなく素人のパスタの常識を踏みつぶしてきます。でも、“あまり硬質でないローマの小麦”からは、メッゼ・マニケやリガトーニといった筋つきパスタのヒットが生まれ、これらをローマのソースと組み合わせてたくさんの料理が誕生した、と辛口なことを言いながら、結局、ローマのパスタをさらっと褒めてますよね。

リッシかリガ―テか

実は、最近のイタリアのパスタはグルテンメッシュの形成や乾燥過程に細心の注意を払い、形ごとに最適の方法で作られています。イタリアでは200品種以上の硬質小麦が違う方法で使用されています。ざらざらした筋つきパスタはゆで汁にデンプンが溶け出す、という現象も、製造方法によって作り出すことが可能になっています。
これはよく考えると、ちょっと怖いですねえ。つまり、ミートソースをスパゲッティにかけるのは間違っている、という説を根本から否定しているのです。この先にあるのは、地方料理が崩壊した世界じゃないですか。地方の個性が薄れてグローバル化が進んだ世界では、パスタの個性はメーカーが創り出しています。

イタリアの硬質小麦の栽培

パスタメーカーの関心は、パスタの形より、小麦の質に移っているのかも。

イタリアで最高のパスタと評されるフェリチェッティのCEOは、パスタの筋はパスタに腰を出して乾燥しやすくするために必要だった、イタリアでは筋つきが売れるが、アメリカでは筋なしがとても人気、パスタ・マットpasta mattoと呼ばれるグルテン指数が高い小麦も栽培している、と語っています。
フェリチェッティはトレントの山の中にあるメーカー。

フェリチェッティのパスタは、単一小麦のオーガニックパスタ。

パスタ用の小麦の選別

イタリアのパスタの進化はすさまじいですね。ヴォイエッロの営業部長は、筋つきパスタも筋なしパスタも均等に作っているが、ドッピア・リガトゥーラのペンネもある、と言っています。

トッレ・アンヌンツィアータで創業したヴォイエッロ。

ヴォイエッロのペンネ・リガ―テ。
今時は筋がついてるだけじゃない、ドッピア・リガトゥーラなんでした。
つまり外側だけじゃなく、内側にも筋がついてるペンネ。

パスタのCMも別の次元に突入してる。

デ・チェッコの典型的なパスタのCM。


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2024年6月27日木曜日

ペンネは1865年にジェノヴァで生まれたパスタ。筋付きパスタの名物伝統料理の本場は、リガトーニやメッゼマニケのローマ。

(CIR3月号)から、《筋付きパスタと筋なしパスタ》の話です。
記事では、パスタ・セッカの最高のものはカンパーニアでだけ造られている、というのは誤った考え、
と断言しています。1500年にはすでにローマやパレルモ、ミラノなどイタリア各地にパスタ工場があったそうです。
1574年にジェノヴァでパスタメーカーたちの協同組合ができた、というのはイタリアのパスタの歴史上でも有名な話。
ペンネも、1865年にジェノヴァで発明されたパスタ。
どうやら特許を取ったようで、発明者の氏名や年が記録に残っています。
発明したのはGiovanni Battista Capurroという人物。

ペンネ・アッラビアータ



生パスタのペンネ

パスタの筋は、ソースがパスタによくからむように考え出されたもの。
そもそもペンネはソースがよくからむ形として生まれました。
筋付きパスタの本場はローマです。
メッゼ・マニケやリガトーニはローマの小麦から生まれました。

メッゼ・マニケのグリーチャ

リガトーニのアマトリチャーナ。

筋付きパスタとローマのソースの組み合わせは、たくさんの名物料理を生み出しました。

でも、筋付きパスタはソースを絡めやすくするため、という発想は、現在では根本から変わったのだそうです。

次回に続く。

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2024年6月26日水曜日

“スパゲッティ・アル・ラグー”のような“ミス”が許せないイタリア人も、筋付きか筋なしかで迷う。

今日のお題は“パスタ・リッシャかリガータか”です。
「筋付きか筋なしか」、これはなかなか難しい問題だそうです。
(CIR3月号、P.22~)
でも、この記事で一番面白かったのは、「スパゲッティ・アル・ラグーのようなミス」という一文。スパゲッティ・アル・ラグーはミートソースのスパゲッティということ。つまり、
ミートソースをスパゲッティにかけるのは、イタリア人にとっては“間違い”なのです。で、外国人を馬鹿にするときの常套句が、スパゲッティにミートソースをかけるwww、となるわけです。これはスパゲッティにミートソースをかけることのどこが間違ってるか分からない人には、かなり深い謎。

スパゲティ・ボロニェーゼは存在しないと訴えるボローニャ市長。

それじゃあ、と意地になってボローニャ風ラグーのタリアテッレを作ってみようとする非イタリア人。でも、見てるとすぐに分かります。これは無理。ラグーを作るだけでもくたくたなのに、さらにパスタまで手打ちするんだから。

スパゲッティ・ボロニェーゼの間違いを超上から目線で外国人に説明するイタリア人。

つまり、世界はパスタの食べ方を知ってるイタリア人と、知らない外国人の2つに分かれるというのがイタリア人の感覚。
でも、パスタについて、イタリアに広まっている誤った考えもあるそうです。それは、“パスタ・セッカの最高のものはカンパーニアだけで造られている”、というもの。
これは、スパゲッティの故郷はナポリで、ブルボン家のナポリ王国時代に生まれて、比較的値段の安かった小麦を材料に、飢えた庶民のための食べ物として作りだされ、ダイスが発明されてパスタ・ルンガの大量生産が可能になり、さらに流通に適したパッケージも考え出されて広く流通するようになったというその歴史を熟知しているイタリア人ならではの固定概念。オーストリア皇帝のフェルディナンド1世や、神聖ローマ皇帝フェルディナンド2世もパスタが好物、という誰得な専門知識まで広まり、スパゲッティはインターナショナルな食べ物になりました。

ラグーをスパゲッティにかけるだけでこんだけ大騒ぎするんだから、パスタに筋があるかないかは大問題。

なんだかおもしろくなってきた。この話、次回に続きます。

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2024年6月25日火曜日

カテリーナ・デ・メディチがフランス料理に与えた影響はフランス料理と共に世界中に広まった。

イタリアとフランスは、ライバルだけど、とても近い存在。共に食文化に関しては、超巨大なプライドを持ち、外国の食文化にも多大な影響を与えてきた国。
互いに自国の料理は相手の食文化に影響を与えたと、堅く信じている。なので、その中心人物カテリーナ・デ・メディチに関しては、虚実入り乱れた様々な伝説が残されていて、そのまま信じてはいけない、ということを今月の(CIR)の記事でひしひしと感じました。

カテリーナがフランス料理に影響を与えたことはイタリア人にとっても誇り。



カテリーナがフランスに伝えてその後、フランスの影響で世界中に広まった、とされる料理の代表的な料理が(CIR3月号P.16~)に日本語訳を載せた6品。
それにしてもこれだけ胸を張ってカテリーナがフランスに与えた影響を語るには、かなりフランス料理を研究する必要があります。こうして両国の食文化は広まっていったんだろうなあ。案外、イタリア料理の最大の理解者はフランスだったりして。

カテリーナ・デ・メディチとフランス料理。

その代表的な料理、鴨のオレンジ風味。メディチ研究所のリチェッタ。

玉ねぎのズッパもカテリーナの象徴的な料理。
以前紹介したトスカーナ料理、カラバッチャがそのルーツ。


さんざんカテリーナの動画を見ましたが、その結果フランス料理のことを勉強した気になりました。

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2024年6月24日月曜日

イタリア人にとってカテリーナ・ディ・メディチは“幸せな美食家”、ところが、フランスでは早すぎる未亡人として黒い女王なんで呼ばれてました。

さて、今日はロレンツォ・デ・メディチの曾孫、カテリーナの話です。
(CIR3月号P.15~)
ロレンツォ・デ・メディチは、フィレンツェとルネサンスの話をする時には欠かせない人物ということは、昨日のブログでお判りいただけたと思いますが、ロレンツォは、フィレンツェの中だけでも権謀術策うずまく、おどろおどろしい政治の世界の中心にいた人でした。その14歳の娘が、隣国の、経済的にも宗教的にも困難な時期を迎えていたフランス王と結婚するというのは、もちろんザ・政略結婚。
今回の記事は、偶然コロンブスが何かと話題に上る昨今の状況から、私の中でコロンブスの評価がガラッと変わった記事を思い出させました。コロンブスはジェノヴァ人。ジェノヴァには彼の家も残されています。私にとってはコロンブスは、アメリカを発見した歴史的探検家。
ちょっと昔、確か1995年は、彼のアメリカ到達500周年だとかで、彼の故郷、ジェノヴァでは盛り上がていました。ところが、記事を訳すために、彼のことを調べていると、なんだか奴隷とか、疫病とか、彼がやったひどいことが、かなり拡散しているのです。各地で彼の銅像が倒される事態になっていると知りました。冒険家としてのコロンブスの姿が、奥をたてて崩れていく・・・。
それ以来、彼は次第に日陰の身になっていきました。
コロンブスの生誕500周年を祝うジェノヴァ、1989年。

その時と多少似たようなことが、カテリーナ・ディ・メディチにも置きました。記事を訳す前と後では、人物像がかなり大幅に変わったのです。

カテリーナ・ディ・メディチ

彼女はグルメなことでも知られていました。そのため、イタリア料理の世界では、イタリアの食文化をフランスの宮廷に伝えた人、という重要人物です。イタリア人にとって、カテリーナは幸せな美食家。ところがフランスから見ると、“黒い女王レジーナ・ネラ”ですよ。
そもそも。彼女は迷信深いとか、権力欲が強いとか、あらゆる悪徳の持ち主と思われていて、ちっちゃくてメディチ家特有の目が出っ張った容貌をカエルみたいとからかわれていたのです。世界のリーダーたるフランス王家からすると、カテリーナは隣国からきた田舎娘、その価値は、父親のお金と王子を産むことだけ。それなのに、結婚後10年間は子供にも恵まれず、夫には美人な愛人がいました。フランスでの彼女の立場は、周り中みんな敵で小姑。
ところがカテリーナが10人の子供、つまり後の王を産むと、すごい手のひら返しで、今度は“ママ女王、レジーナ・マードレ”と呼ばれるようになります。
ヨーロッパの歴史って、誰の立場で見るかによって全然違います。
それにしても、外国から来た若いイタリア人に対する偏見と冷たくて厳しい隣国の目にさらされたカエル目の少女には、すごい武器がありました。それは知性です。メディチ家の頭脳を持つカテリーナは、当時のインフルエンサーでした。フィレンツェやシチリアから料理人とパティシエを連れてきて料理を教えさせました。料理はお腹を満たすだけのものではない、という確固とした考えを持ち、フランス人にフォークの使い方を教え、料理と料理の間に皿を換え、ドルチェとサラートのサービスを分けるという習慣を導入しました。
宮廷料理にたくさんの野菜を使った家庭の味を取り入れたのもカテリーナの功績です。
ソルベットやクレープもフランスに伝えました。

次回は料理の話。

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2024年6月22日土曜日

カテリーナ・デ・メディチはロレンツェ・デ・メディチの曾孫。

今日はカテリーナ・ディ・メディチの話です。
イタリア料理やフランス料理に大きな影響を与えて、ヨーロッパの食文化にイタリアの要素を加えた人物。
そもそもその名前から、メディチ家の一員であることは想像がつきます。メディチ家は、北イタリアの商業と銀行の中心地の一つとして繁栄したフィレンツェの大支配者で、両替商として成功した銀行家で、メセナの語源にもなるほど、芸術や文化活動のパトロンとしてその存在と業績は、現代までも知られています。
そんなメディチ家の最盛期の当主がロレンツォ・デ・メディチ。外交・政治能力に優れた、フィレンツェの最高権力者。
カテリーナの話をする前に、大ロレンツォことロレンツォ・デ・メディチのことも、どんな人物だったのが、ちょっと見てみましょう。この機会にフィレンツェの歴史を知っておくのもいいかも。下の動画はなかなか見ごたえがあります。


フィレンツェの絶対支配者、芸術の擁護者として、彼はほぼ伝説上の人物でした。youtubeからネトフリまで、メディチ家とフィレンツェの歴史を語る動画が溢れています。そして様々な持論で一杯です。
でも、この(CIR)の記事(P.15~)のカテリーナ・デ・メディチは、今まであまり伝えられていなかった面を紹介しています。
多分、歴史的な資料はたくさん残っているのでしょうが、こういう姿を見たいと思う大衆の考えに左右された結果、いかにもそれらしい説だけが残ったのでしょう。

それにしてもハンサムで人気者の弟とブサイクで厳格な弟を比較する時、世間は容赦ないですね。

そして問題のカテリーナは、ロレンツォの曾孫です。

ロレンツェの物語を知ってフィレンツェを見ると、壮大な歴史が見えます。
と言うか、フィレンツェを観光する時は、観光客はほぼ強制的にメディチ家の歴史を教わります。メディチ家のことを知らなければ、フィレンツェのことは何も知らないも同然。
次回はカテリーナの話。

現在のフィレンツェの象徴、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナとその伝道師ダリオ・チェッキ―ニ。

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2024年6月21日金曜日

スカンマロのフリッタータは卵が入らないフリッタータ。ナポリの人気料理だけど、具はシチリアの食材。

今日の料理は“フリッタータ・ディ・スカンマロfrittata di scammaro”です。
ナポリ料理です。
フリッタータと言えば、卵料理だと思いますよね。

ズッキーニのフリッタータ

ナポリのスパゲッティのフリッタータ

スパゲッティのフリッタータはナポリの名物料理。
なのにこの料理には、卵は一切入ってないのです。
“スカンマロ”という言葉は、「詐欺」という意味。ちょっと物騒な名前。
スパゲッティのフリッタータは、そもそも残り物のパスタを有効利用する家庭料理ですが、スカンマロのフリッタータは、復活祭や修道士に関係がある料理。

スカンマロのフリッタータ

上の動画の人は、使われている食材は両シチリア王国の産物で、同じくブルボン家に支配された相棒、シチリアの美味しいものを組み込んだナポリ+シチリアの料理だそうです。

さてこの料理は、復活祭の四旬節の間の料理ですが、四旬節と言えば、動物性脂肪、つまり肉食を断つ断食の期間。修道院には、この時期に断食をする厳格な宗派と、もっとゆるい宗派がありました。厳格な断食をする人は、個室に籠ってゆるい人たちとは別に食事をしました。その個室のことは、独房、またはスカンマロと呼ばれていたそうです。

ナポリ料理の人気の本、リチェッテ・ディ・ナポリ
にはフリッタータのリチェッタがたくさん載っています。フリッタータはナポリの人が大好きな料理だったようです。とせに、マッケローニのフリッタータについては、こんなことが書いてあります。
 「フリッタータ・ディ・マッケローニはナポリで生まれたパスタの残り物を使うシンプルな料理だが、簡単に作れるプランゾやチェーナの1品にもなる。ナポリで、プランゾの時間帯にビーチを散歩して見ると、フリッタータ・ディ・マッケローニをアルミ箔で丁寧に包んで食べている人たちをよく見かける」

ナポリのビーチ(砂浜がない)


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2024年6月20日木曜日

パスタと野菜の組み合わせの代表は、イタリアの国民的料理、パスタ・エ・ファジョーリ。

(CIR3月号)のリチェッタから、今日はプリーモ・ピアット。
“じゃがいもとプローヴォラのパスタpasta, patate e provola”です。
日本語のリチェッタはP.5。

パスタ・エ・パターテは伝統的なナポリ料理。

ナポリ人に料理のことを語らせたら面倒なことになる、というのはみんな知っていること。特にトマトやピッツァのことを語らせると、へたすると喧嘩になります。このパスタ・エ・パターテは、トマトやピッツァに匹敵するナポリ人が愛してやまない料理。ナポリ料理の大家、ルチアーノ・ピニャタロはその著書『リチェッテ・ディ・ナポリ

では、パスタの種類やパスタを作る時に使うダイスの素材についてまで、ナポリ市民全員に持論があって、流派は人の数だけありそう、と語っています。
この料理は、典型的な野菜とパスタの組み合わせで、イタリアの農民料理の頂点、パスタ・エ・ファジョーリの一種です。パスタ・エ・ファジョーリはイタリアの国民的料理とか、ミネストラの女王と呼ばれています。イタリア各地にある料理ですが、その本場は、いんげん豆の産地として知られるヴェネト。

ベネト風パスタ・エ・ファジョーリ

ナポリ風パスタ・エ・ファジョーリ

ナポリのトラットリアでパスタじゃなくパスタ・エ・パターテを注文する人はかなり通だと思いますが(リストランテではあまりお目にかかからない)、私はこの料理が国民的料理だとかナポリの名物料理ということも何も知らなくて、たまたまメニューにあったローマのレストランで注文するという、お上りさん丸出しの暴挙に出ました。でも、いざ食べてみると、こんなにおいしいミネストラがあるんだと軽くショックで、すぐにお気に入りのイタリア料理のリスト入りです。ナポリのパスタ・エ・パターテには様々な形のパスタの切れ端が入ります。豆は白いんげん。
パスタと野菜の組み合わせの代表は、パスタと豆。パスタ・エ・ファジョーリ、パスタといんげん豆の他にひよこ豆、レンズ豆、グリーンピース、ソラマメなどがよく使われる豆。野菜なら、カリフラワー、ズッキーニ、カボチャなど様々あります。

パスタは、生麺、乾麺、どちらの場合もあります。ショートパスタだけでなく、ロングパスタを折って入れたりもします。代表的なのはディタリーニ、スパゲッティ、幅が広めのタリアテッレ、マルタリアーティ、ラザニェッテなど。生麺の場合は北イタリアでは卵入り麺。パスタの代わりに米や大麦を組み合わせることもできます。

唐辛子入りのカラブリア風、シーフード入りのマリナーラなど、地方の名物を加えたアレンジも各種。

アジェローラのプローボラ・アフミカータはナポリの名物。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

現在、2021年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売している(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)バックナンバーは、2021年1~12月号です。
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イタリアのパスタはガラパゴス化がすごい。世界はついていけるか。

筋つきパスタの記事、訳してみたら、超専門的な最先端のパスタの話でした。記事の最後には、「現代の消費者はスパゲッティ、ペンネやフジッリなど伝統的なものには完璧を求めます」とあります。 ある意味、パスタの母国でのパスタのガラパゴス化ですね。 現代の科学技術があれば、どんなパスタでも作...