(CIR)のイタリアの地方の食文化の記事、《ベルパエーゼ》では、毎月、各州の代表的食材の紹介と共に、地方を象徴する料理のリチェッタを1品取り上げています。
ウンブリアを象徴する料理として取り上げたのは、“レンズ豆のミネストラ”。
レンズ豆はウンブリアの名産品。特にカステッルッチョ・ディ・ノルチャは、6月初めの花の時期にウンブリアとマルケの間の高原がハーブとカラフルな花で埋まる光景で有名。脱穀は8月。
2014年のカステッルッチョ・ディ・ノルチャ。
出荷されるまで。
レンズ豆はそのコインのような形から、お金がたまる縁起の良い食べ物として、イタリアでは年末年始には必ず食べる。富だけでなく、鉄分やたんぱく質を豊富に含む優れた食品でもある。庶民の間では陶器の鍋でコトコト煮込むのが一般的だが、個性的な味と歯ごたえで、世界中で重宝されて、約7千年前から食べられていた。原産地は現在のシリア。地中海全域に広まり、中世には主に修道院で栽培されて、修道士たちの断食の日の質素な食事に登場する“金曜日の食べ物”で、肉に匹敵する栄養価があるとみなされていた。
レンズ豆のズッパはイタリアのすべての州にあるが、今月の(CIR)ではウンブリアのレンズ豆のミネストラを紹介している(リチェッタの日本語訳はP.29)。
色味が暗くてさすがは中世の断食の食事だと思っちゃいますが、(CIR)のリチェッタのようにトマトを加えるだけで大分明るくなります。基本はレンズ豆のミネストラと同じですが、豆にカットトマトやトマトペーストを加えて煮ます。下の動画では仕上げに粉末のターメリックを加えてますね。
トマトなし。
トマト入り。
レンズ豆はエジプトの国民食。
エジプトのレンズ豆料理。ゆでるだけでなく、さらに裏漉したり、サラダにする国も。
トマトの代わりにオレンジでも美味しそう。
レンズ豆のオレンジ風味。
モロッコ風レンズ豆のサラダ。
ウンブリアの豆の生産量は、人口の急激な減少、豆の栽培に時間がかかり、機械化ができない、などの理由で減少している。
いざという時はやっぱり修道院は頼りになりそう。
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