2023年5月16日火曜日

マルケ料理と言えば、オリーベ・アスコラーナが有名ですが、実は、もっと世界的に有名な料理がありました。ロッシーニ風トゥルヌドです。でも、これがマルケ料理だとはあまり認識されてない。残念。

今日は《シビッリーニ山地の豆料理》(日本語訳は、CIR3月号P.42~)から、リチェッタの解説です。
地方料理の小さな傑作、“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズのマルケ州の本を

豆料理という視点で見てみると、マルケには数々の美味しそうな豆料理が、さらにはプリーモもセコンドもバリエーション豊かに色々あることに気が付きます。

マルケ料理16選。

CIRの記事の最初のリチェッタは、“ロベーヤ豆のファレッキアータFarecchiata adi roveja con salsa all'aglio e acciughe”というものでした(日本語訳はP.44)。
“ロベーヤ豆”というのは、グリーンピースの一種。草原に自生する豆です。古代から知られていましたが、全盛期にウンブリア~マルケに至るアペニン山脈全域で栽培されるようになりました。中でもその中心はシビッリーニ山地でした。他のレンズ豆やスイートピーなどの質素な豆と一緒にこの地方の農民や羊飼いにとっての大切な食糧となりました。
ロベーヤ

現在はその価値を認めるわずかな農家のみが栽培しています。
ソラマメのような味でたんぱく質が豊富で栄養価が高く、ほろ苦さがあるその粉からはファレッキアータfarecchiata、またはペザータpesataという伝統的なポレンタを作ります。アンチョビとにんにく、EVオリーブオイルのバットゥートをかけて食べます。

ウンブリア料理を紹介する動画にファレッキアータがありました。

もっとマルケらしい料理を、ということで、“スイートピーのズッパ”。マルケ産の豆を使えば完璧。スイートピーはエトルリア人も栽培していたというマルケ中に普及した歴史の古い豆。やっぱり現代ではごく一部の地域でしか栽培されていない。

・スイートピーを最低12時間水で戻す。
・鍋に油、玉ねぎの薄切り、セロリ1片、ローズマリー、タイム少々を入れてソッフリットにする。
・水で豆を覆い、トマトペースト少々を加えて約35分煮る。
・ハーブを取り除いてミキサーにかけ、鍋に戻してじゃがいも2個の小角切りを加え、15~20分煮る。じゃがいものデンプンでクリーミーなズッパになる。

チャバッロciavarroは5月1日に食べる豆と穀物のミックスのズッパ。アスコリの名物。地元でとれる豆を全部入れたみたいなズッパ。じつは残り物のズッパなんだけど・・・、とぶっちゃけてます。

・豆と穀物は別々に戻す。
・玉ねぎの薄切りをソッフリットにし、豆と穀物、熱湯、塩、こしょう、トマトペーストを加えて蓋をしてことこと2時間煮る。
・油を回しかけて熱いうちにサーブする。

動画は見つからなかったけど、チョンチョーニcioncioni、またはチェンチョーニcencioniというソラマメの粉のパスタもあります。硬質小麦粉、ソラマメ粉、卵のパスタをブロードで煮ます。
下の動画はソラマメのパスタ。

マルケ料理でもう一つ気が付いたのは、ロッシーニの存在です。
オペラの作曲家、ロッシーニはマルケ州のペーザロの出身。
マルケが誇ってやまない偉人です。

彼はグルメだったことでも有名な人で、ロッシーニにまつわる伝説と彼の名がついた料理がたくさんあります。

中でも有名なのはトゥルヌド・ロッシーニ風。
歴史はまだ浅いけど、マルケでは、この料理はどこの高級レストランでも出す立派なマルケ料理。

トゥルヌド・アッラ・ロッシーニ。

もちろんこの料理が有名なのはロッシーニのお陰だけど、マルケのトリュフも欠かせない。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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