2023年5月30日火曜日

ラビオリの形は2枚の生地で挟んだ詰め物の閉じ方から生まれる。一番シンプルなのは長方形。

(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2021年4月号のリチェッタ、1品めは、
カプリーノのラビオリ、グリーンピースのブロードがけ(リチェッタの日本語訳はP.4)。

グリーンピースのブロードの鮮やかな緑に、形が美しいラビオリを浮かべた1品。
パスタは小麦粉200gと卵1個の生地に卵黄3個を加えた黄色い生地なのでグリーンピースの緑とよく合います。
ブロードはスープのようにたっぷりではなく、クリームのようにひたひたにパスタにかかっていて、色合いが強調されています。よく考えられた1品です。

ところで、今回のパスタはラビオリです。
スローフードの“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの“パスタ・フレスキとニョッキ


から、詰め物入りパスタのページを訳してみます。

ラビオリは詰め物入りパスタです。
詰め物入りパスタとは、パスタ・フレスカ、つまり生パスタでもあります。家庭と地方という2つの作業場で考え出され、その中心地エミリア・ロマーニャ州では、ブロード用のパスタとして発展しました。

詰め物入りパスタ各種。

エミリア・ロマーニャの詰め物入りパスタ、トルテッリーニ・ボロニェージ。



パスタの詰め物は、肉と肉が入らないマーグロに大別されます。
形は、四角、長方形、三角、円、半円、半月が一つのグループで、もう一つは“カッペッロcappello”と呼ばれるグループです。カッペッレッティ、カッペッラッチ、アノレッティ、トルテッリーニ、トルテッローニなどが含まれます。今回の(CIR)のリチェッタのパスタはこのタイプ。
さらに特殊な形をしたカルツォンチーニ、ファゴット、クレスタ・ディ・ガッロ、カラメッラ、コーダ、コルドンチーノ、スピゲッタ、トレッチャ、ピッツィコットなどがあります。
他に、各地の伝統や外国のもの、グランシェフの想像力から生まれたものなど、様々です。
ラビオリの違いは詰め物をはさんだ2枚の生地の閉じ方の違いから生まれます。最もシンプルなものは長方形。半月形mezzalunaはやや技術が必要になります。


一見シンプルな長方形ですが、円形を半分に折るだけの半円形と違って、四角形の詰め物入りパスタは、4つの辺の長さを同じにする、ということが必要です。
ぶきっちょだと難しさが理解できるwww。これはフランスのラビオリの特徴で、イタリアにはリグーリアを経由してピエモンテのアスティに伝わりました。リグーリアが出てくると、サボイア家やサルデーニャの歴史とリンクします。ピエモンテでは、四角い詰め物入りパスタはブルジョア風とか都会風と呼んでいました。フランスに対する強烈な皮肉を感じる呼び方です。
裏返して、田舎に住んでると感じてるピエモンテ人は、かなりフランスや都会にコンプレックスをもっていることもわかります。
半円形は、よく知られている通り、イスラムのシンボル。イスラムに征服された経験を持つヨーロッパでは、ちょっと複雑なイメージがある形。でも、征服があれば解放もあるわけで、特に有名なのが、トルコとオーストリアの間の戦い。1683年にウイーンが解放されたときは、半月形にインスピレーションを受けた食べ物があれこれ誕生しました。クロワッサンがその代表。
ドイツ語ではkipfel。イタリア語ではコルネットcornetto。


半円形の詰め物入りパスタは、スッドチロル地方の伝統パスタです。
次回はこの話。
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