2024年12月4日水曜日

リグーリアのシンボル、ペーストは、くるみのソースやアイオリのバリエーションの1つ。

今日のお題は、リグーリアのシンボル、ペーストil pestoです。
イタリア料理アカデミーのイタリア各州のソースの本、『スーゴとソース

には、こう書いてあります。
ペーストは、おそらく、1840~1860年頃、レストランかロカンダの料理人が考え出した。1863年に出版されたジェノヴァ料理の本『La Cuciniera Genovese』に登場したのが世に出た最初の文章。クルミのソース“salsa di noci”のバリエーションの一つ。またはにんにくのソースに刻んだバジリコを加えたものだそうです。

くるみのソース


にんにくのソース“salsa di a'glio”は、イタリア各地やプロヴァンスのソースとして知られていました。

プロヴァンスのにんにくのソースは“アイオリaioli”


Adriano Raveva, Boves(Cuneo)のアイオリのリチェッタは、
6人分
にんにく・・2かけ
卵黄・・1個
EVオリーブオイル・・1カップ、塩

・乳鉢でにんにくとゆでたじゃがいもを潰してピューレ状にし、卵黄と塩たっぷり一つまみを加えて混ぜる。マヨネーズを作る要領で同じ方向に混ぜながらオイルを1滴ずつ加えて濃い締まったソースにする。

クルミのソースもにんにくのソースも、リグーリアのベースのソース。そしてペーストは、バジリコのソース。バジリコは無数のソースに使われているハーブ。ペーストは約50年でリグーリア中に広まりました。テラスで栽培できるバジリコは伝統的には都会のソース。バジリコの産地ブラのペーストは、ハウス栽培の生まれたてのバジリコの新鮮な若葉を使うのがポイントでした。松の実の代わりにくるみを使うと、伝統的なペーストとはまた別のソースになります。

ファッチャーモロ・ペストは現代人向けのペーストの本。ミキサーを使えばなんでも簡単にペーストになります。


ジェノヴァの歴史的市場、メルカート・オリエンターレはリニューアルされてモグMogという通称で親しまれています。ここには有名なオスタイア・デ・ゼ―ノがあります。


(CIR8月号)はまもなく発売です。

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2024年12月3日火曜日

リグーリアのパスタソース。くるみのソースは十字軍が発見してヨーロッパに伝えたくるみの大ヒットソース。

2つの顔を持つ街、ジェノヴァ。
港と丘陵地では、料理も違います。

イタリア料理アカデミーのイタリア地方料理のソースの本、『スーゴとソース

によると、リグーリアのスーゴには、海の幸がベースの“スーゴ・ディ・マーレ”というのがあります。これは19世紀後半に、リヴィエラ地方で起きた味の国際化や観光ブームがきっかけでした。
ところがリグーリアの、またはその食文化の中心地はジェノヴァ。
ジェノヴァ料理は、魚料理がベースではない料理です。
リヴィエラの魚のソースの代表は、“sugo di acciughe salate”。
中世以前から広まっていた青魚のソースです。塩抜きしたアンチョビをオリーブオイルで溶いてパスタや野菜、ゆでた魚にかけました。

アンチョビのソースはアーリオ・オーリオやカルボナーラに匹敵するイタリア料理のベース。
アンチョビのスパゲッティ

一方、ジェノヴァのソースのベースは、“salsa di noci”クルミのソースです。

クルミのソースのパスタ。



このソースをかけるパスタは、タリアテッレ、スパゲッティ、リングイーネ、トレネッテなど。
トレネッテは卵が入らない硬質小麦のパスタです。
グルメでリグーリアの食文化に詳しい有名ジャーナリストが語るトレネッテ。

パンソーティもくるみのソースが合うリグーリアのパスタ。野生のハーブがベースのマーグロな詰め物のラビオリ。

くるみは最初の十字軍の遠征(1099)でキリスト教徒が発見したものの一つ。
他に、スパイス、砂糖、さらに後にコーヒーも発見しました。
くるみだけでなく、ヘーゼルナッツやアーモンド、松の実といった当時はヨーロッパには存在しない油を含んだ木の実に、ヨーロッパ人は夢中になりました。中世の無数のドルチェのベースになり、甘くない料理にも使われました。クルミのソースも、人気でした。

最後はジェノヴァのレストラン“Le Cicale”

次はペーストの話。

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2024年12月2日月曜日

フォカッチャの聖地、ジェノヴァは、2つの顔を持つ街。

今日のお題はグルメガイド。取り上げた街は、フォカッチャの聖地、ジェノヴァです。
ジェノヴァに行く前に知っておきたかった情報ばかり。
まずは記事(CIR7月号P.34)に登場する高架道路、sopraelevata

ジェノヴァの高架道路。一般の道路より高い位置にあるのでこう呼ばれるます。ジェノヴァの動脈になるような道路で、この道路の建設は街の一大事業でした。1965年に開通しました。道路の右と左では、まるで違う世界のよう。

右側にあるのは、ポルト・アンティコと呼ばれる港。
有名な水族館があります。ジェノヴァの自然の出口で、海や世界とつながっています。


港での仕事は、きつい仕事の代名詞。仕事の休憩時間に労働者たちが食べて力をつけていたのが熱々のトリッパ。トリッパを出す店は、トリッペリアと呼びました。

老舗のトリッペリーア・カサーナtripperia la casanaのトリッパは濃厚。
庶民的な下町気質な地区。この雰囲気はジェノヴァ全体に流れています。


そして道路の左側は都会。
ガリバルディ通りことストラーダ・ヌオヴァは世界遺産の道。ルネサンスとバロックの境目になっている美しい貴族の館が建ち並んでいます。

ガリバルディ通り
何の知識もなしにこの通りにさまよい込み、魅力的な雰囲気に圧倒され、ジェノヴァ滞在中は毎日通いました。

下町の雰囲気が濃厚でちょっと怖いくらいな港湾地区と、夢のような洗練された貴族の館、その二面性がジェノバの特徴。
ジェノバの料理も2つに分かれます。
山の斜面ではペーストやくるみのソースなど、リグーリアの伝統的なソースになる野菜が栽培されていて、一方海辺では魚が主役。

港のレストラン、リストランテ・マリンは、港から奥地に向かって吹く風のような店。

メルカート・オリエンターレ

ジェノバの迷路の一端、carruggi

ストラーダ・ヌオヴォのパラッツォ

ジェノバは知れば知るほど面白い街。
次はジェノヴァ料理の話。

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