2024年12月19日木曜日

メイド・イン・イタリーの最新のヒット商品、ストラッチャテッラ。ミルクの香りでバターの味の奇跡の乳製品。

今日のお題は“ストラッチャテッラstracciatella”。イタリア生まれの最新の人気食材です。
多分、よく知られているのはジェラートのフレーバーの一種。
ストラッチャテッラ

イタリア地方料理の世界では、ローマ料理にストラッチャテッラというミネストラ&卵料理があります。■■■

そして今回取り上げるのは、チーズ(正確にはチーズではなく乳製品)のストラッチャテッラです。■■■

ストラッチャテッラは引き裂かれたボロボロのもの、という意味ですが、その語源は“ストラッチェッティstraccetti”。モッッァレラなどのパスタ・フィラータチーズ作りの過程で出る残り物を生クリームと混ぜたもののこと。
残り物は捨てない、という考えから生まれた製品。
20世紀初めのことでした。

パスタ・フィラータチーズの代表はモッッァレラとブッラータ。

ブッラータ。

パスタ・フィラータ

ストラッチャテッラ誕生の地、プーリアのアンドリア。

 アンドリアに初めて行った時、広場で10歳ぐらいの男の子に出会いました。その時の彼の反応は、今でも忘れられません。私を見上げて口を大きくあんぐりと開け、目を見開いて私の真正面に立ち、私を凝視したのです。マンガでしか見たことがないような表情でした。ひょっとしたら、東洋人を見たのは初めてだったのかな。それにしても、すごい田舎に来ちゃった、と思いましたよ。
 そんな素朴な人が暮らす割にはなかなかの都会で、きれいな落ち着いた街でした。偶然入ったオステリアの料理はとても美味しく、大繁盛しているチーズ屋で買ったブッラータは最高に素晴らしく、有名なアルティジャナーレのコンフェッティの老舗もありました。街中に職人たちがいました。プーリアの人が愛するフェルディナンド2世が作った世界遺産のカステル・デル・モンテに行くにはベースになる街です。

カステル・デル・モンテ

 そんなアンドリアで生まれたストラッチェッティはすぐに近隣のカンバーニア、モリーゼ、バジリカータに広まり、ストラッチャテッラstracciatellaと呼ばれるようになります。
そして長い時間をかけて南部の食文化に溶け込んでいきました。
 クリーミーでほぐしたチーズの歯ごたえがあり、ミルクの香りでバターの味を持つストラッチャテッラは、市場の難しい要求にも素早くこたえる奇跡の食材でした。
そうそう、ミルクは牧草のエッセンスが複雑になる真夏が一番おいしいそうです。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

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