2023年4月22日土曜日

今日の料理はほうれん草の料理。フィレンツェからフランスに伝わって国際的な料理になった、ということは、例のあの人がからんでますね。。

今月のCIRのリチェッタ、プリーモの1品目は“チーメ・ディ・ラパのニューディ”です(リチェッタはP.5)。
今日のお題は、ニューディgnudiです。あ、この言葉は人前で検索しないように電車の中とか、要注意。念の為。
この料理はトスカーナ料理です。そこでおなじみのトスカーナ料理の傑作本、『トスカーナ・ディ・ルフィーノ

を見てみると、こんなことが書いてありました。
ニューディgnudiはヌードnudiという意味の方言。つまり何も着ていない、ということ。ゆでたほうれん草・リコッタ・卵がベースのフィレンツェの料理。

ニューディ。


つまりパスタで包まれていないラビオリで、主に夏に作られる。材料はゆでたほうれん草、卵黄、ナツメグ、パルミジャーノ、こしょう。これらを小麦粉をまぶしながら丸めてさっとゆで、セージバターとおろしたチーズをかけてサーブする。
これまでチコーリアとかプンタレッレとか、日本には馴染みがないけどイタリアのグランシェフたちは大好きな野菜の話が続いてましたが、ようやくおなじみの野菜が主役の料理です。
カルロ・クラッコシェフの地方料理の本、『カルロ・クラッコの地方料理

には、トスカーナ料理の章に、ほうれん草のフィレンツェ風が載っています。
そしてこんな解説が書いてありました。
“ほうれん草のフィレンツェ風Gli spinaci alla fiorentina”は外国でも知られているインターナショナル料理で、カテリーナ・デ・メディチのおかげで広まりまった。

彼女はフィレンツェの伝統料理をフランスの宮廷でメジャーにする、という強い考えを持って、フランス王との結婚の際に、フィレンツェの料理人たちを同行させた。
これは裏を返せば、フィレンツェの洗練された料理に慣れたカテリーナが、フランスの宮廷料理が口に合うか、不安だったということ。
イタリア人にありがちな故郷の料理への絶対的な信頼とそれ以外の料理への不信感を彼女も抱いていたのでしょう。言い換えれば、典型的なイタリアのお姫様だったわけで・・・。
結婚したのは14歳の時だって。
イタリアが受けた外国からの侵略や食文化への強大な影響はよく聞くけど、イタリアがフランス、さらには世界の宮廷料理に影響を与えた、という事実は、イタリア人にとってはさぞ痛快だったのでしょう。イタリア料理史上の彼女の名声は、伝説級になりました。

カテリーナ・デ・メディチとフランス料理。

ほうれん草のフィレンツェ風は、ほうれん草をチーズと炒めてベシャメルをかけ、牛肉などに添えた料理。ベシャメルはフランスの宮廷で考えだされたものですが、カテリーナはその百年も前にフランスの宮廷に同様のものを伝えていたそうです。つまりフランスの宮廷料理のルーツにカテリーナは大きな影響を与えた、と研究者は堂々と、胸を張って語っています。

ほうれん草のフィレンツェ風。

クラッコの地方料理から、“ほうれん草のフィレンツェ風spinaci alla fiorentina”のリチェッタを訳してみます。

材料/4人分
ほうれん草・・400g
ペコリーノ・フレスコ(ピエンツァタイプ)・・40g

バター・・60g
にんにく・・1かけ
牛乳・・大さじ2〜3
コロンナータのラルド・・4枚
ビネガー、ナツメグ、塩

・小鍋に牛乳とおろしたペコリーノを入れ、湯煎にかけて溶かし、ベシャメルや軽いフォンドゥータ状にする。
・ほうれん草の葉をバター35gと皮付きにんにくでしんなり炒めてすぐに火から下ろし、ナツメグを加える。
・ほうれん草の茎を6〜7cmに切って塩ゆでし、氷で色止めして冷まして水気を切る。
・フライパンでバター25gで炒め、塩をして火から下ろす。
・4つに束ねてラルドで巻く。
・皿に炒めたほうれん草を敷き、軽く熱したペコリーノのフォンドゥータで覆う。ラルドで巻いたほうれん草と卵のポシェを添えてフォンドゥータ少々をかけてサーブする。

ほうれん草は夏より冬に葉が厚く、おいしくなる野菜。ほうれん草の茎の使い方は日本人のシェフから教わったと語っています。束ねた茎をフライパンで炒めて生魚で巻いたり、スライスしたローストビーフに添えてもよい。何も捨てないこと。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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