今月はガチョウの話をだいぶした印象です。牛や羊の話もしましたが、今月のもう一つのテーマ、生ハムの産地でもある“エミリア・ロマーニャ地方”で大切なのは、豚です。
この地方では豚のことを、母なる自然と人間の父から生まれる田舎の宝石と呼んでいます。
特にエミリア・ロマーニャ地方では、豚は130kg以下の“軽い”タイプと、サルーミ用になる170kg以下の“重い”タイプがいます。
腸詰め以外にも、ロースト、煮込み、グリルなど様々な料理があります。
ロマーニャ地方では、お母さんの味といえば、豚肉のミネストラ。
他に、サルシッチャ・フレスカのスーゴ、ロース肉のミルク煮、60〜70年代にロマーニャ地方のオステリアで大ヒットしたブラチョラータなどの料理も代表的です。
さらに、豚肉の加工品といえば、サルーミ。
生ハムやサラミなどの総称です。
イタリアで激しい戦いや労働に明け暮れる農民や戦士には、栄養価の高い食べ物が必要でした。古代から第二次大戦後まで、動物性タンパク源は常に不足していたのです。
雑食性の豚は、家庭の生ゴミや都市の周囲の広葉樹の森の草を食べて短期間で太りました。
トスカーナの森で放し飼いにされている豚、チンタ・セネーゼ。
豚のカロリーが蓄えられているのは脂肪、タンパク質は赤身肉。たっぷりある脂身や肉を保存する方法がサルーミ。イタリアは地域によって気候も食文化も様々。そのため、サルーミも様々なものが作られました。
大きくは、プロシュット、コッパ、パンチェッタなどの単一の部位を使ったもの。
そして赤身肉と脂身をミックスしたサラミに大別されます。
イタリア産サルーミの中でも、DOP製品は、豚肉の産地、飼育、加工の3つの条件が決められている地域内で定められた法律に基づいて行われたもの。そのため五感的な特徴や栄養価の特徴も製品に現れている。さらに子豚の誕生から製品の出荷までが把握されている。つまり安全が保証されている。
IGP製品は2つの条件をクリアしているもの。
イタリアのアルティジャナーレな食品は、高級品というブランドイメージが強烈だ。消費者は、アルティジャナーレの素晴らしさを知っているので価格の高さも理解している。でも、市場には世界規模でコピー品や類似品が後を絶たない。DOPやIGPというEUの認定は、値段が安い類似品を見極めるヒントになっている。
サルーミには、自然と人間の共同作業によって生み出されるイタリアの食文化の伝統が映し出されている。“豚肉は田舎の宝石”です。
豚肉を長期保存する方法のの一つが、海に囲まれたイタリアならではの塩漬けだ。
塩よりたっぷりあったのが、太陽。これは南イタリアの得意技だ。
太陽が乏しい北では暖炉の熱を利用してスモークした。スペックが代表的。
天日で乾燥させるのは湿度が低い南イタリアの得意技。
パルマの生ハムのライバル、サン・ダニエーレの生ハムは湿度が低くて風通しがよい場所で作るので、乾燥の方法を用いた。太陽も塩もあったのに、湿気をもたらす霧が出て乾燥の方法に工夫が必要だったのが北イタリア。
特にポー河右岸のバッサ・パルメンセと呼ばれる地方は、冬は霧に包まれ、夏は猛暑で蚊と湿気に悩まされる、そんな地方だった。ところがそんな特性があったラ・バッサと呼ばれるこの地方は、保存方法に工夫を加えた結果、イタリアでも最高のサルーミの産地として知られるようになった。
クラテッロの産地、ジベッロ。
バッサ・パルメンセ。
保存できるだけでなく、タンパク質分解酵素の働きがが活発になり、部分的に加水分解されてとても消化が良くなる。塩漬けはケルト人から伝わった保存方法だ。
サラミはアペリティーボに添えるストゥッツィキー二に最適。特にクリームチーズとの相性が抜群。
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