ファルファッレは、形に特化したショートパスタなので、調べれば調べるほどこのリチェッタは貴重ということが分かってきました。
このリチェッタは、生クリームとパルミジャーノのソースに、サフランで黄色を強調した、なかなか優れものです。
ファルファッレの麺をサフランで黄色くするのは手打ちパスタの基本のテクニック。
ちなみに、パスタの色は、ダイスがブロンズかテフロンか、乾燥時間が長いか短いかで濃い黄色か白と、はっきり違いが出ます。
白いパスタは量産型の証です。
パスタの大量生産は、価格を下げるために、小麦の風味や栄養価を犠牲にしてきました。
不景気な時代にはそれが必要だったのですが、やがて作り手は、こだわりのパスタを求める少数の消費者のためのパスタを作るようになります。
少量でも最高品質のものが求められる時代になりました。価格が高くなることは避けられませんでしたが、小さな市場のためのアルティジャナーレなパスタは、世界の市場を相手にするようになり、生き残っていきました。
さらに新しい時代は、主婦が家庭で料理をする時間が減りました。
おばあちゃんが家庭でパスタを手打ちしていた時代が変わったのです。
その影響を被ったのは、オレッキエッテ、カバテッリ、ブジアーテなどの編み棒パスタを始めとする無数の地方料理のパスタです。
こうしたパスタは職人がパスタを手打ちする手打ちパスタ専門店を生み出しました。
パスタは大量生産の乾麺と職人が手打ちするアルティジャナーレに分かれるようになります。
手打ちパスタ店では、パスタの詰め物や惣菜も売るようになりました。
地方料理を教えてくれるおばあちゃんがいない日本では、地方料理のショートパスタは、ほぼ消滅しました。現代の日本でその役割を担っているのは、イタリア料理のシェフたちです。
ラベンナのパスティフィーチョ・リストランテ・プロディーノ。
ファルファッレは代表的なショートパスタ。普段はあまり注目することもなかったパスタですが、このパスタから様々なことが見えてきました。
パスタは、乾麺と生麺にはっきり分かれます。歴史も製造過程も作り手も違います。
乾麺のパスタのスタートはダイスを通すトラフィラトゥーラtrafilatura。
生麺の基本はパスタ・リッシャpasta liscia。
ショートパスタの観点からパスタを見ることあまりなかったなあ。
次回に続きます。
=====================================
ブログ『イタリア料理ほんやくざんまい』
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』
(CIR)2020年1月号、(CIR)2020年2月号、(CIR)2020年3月号、(CIR)2020年4月号、(CIR)2020年5月号、(CIR)2020年6月号、(CIR)2020年7月号、(CIR)2020年8月号、(CIR)2020年9月号、(CIR)2020年10月号、(CIR)2020年11月号、(CIR)2020年12月号、(CIR)2021年1月号、(CIR)2021年2月号、(CIR2021年3月号)
“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズ
『スーゴとソース』
『カッチャジョーネ』
[creapasso.comへ戻る]
0 件のコメント:
コメントを投稿