2023年4月18日火曜日

ミラノ人が1513年のノバーラの戦いで敵のフランス人を精一杯侮辱した言葉が“チコーリア”。ストレスで溜まった肝臓の老廃物を出すためにチコリ茶を飲んでいたからだって。

今日のお題はチコーリアです。
(CIR2021年3月号P.17~)を参照ください。
この記事は、旬の食材を酸っぱいagroと苦いamaroに分けて紹介する記事。
酸っぱいの代表はレモンで、苦いの代表がチコーリアでした。
レモンはアマルフィの名物としても知られる地中海をイメージする果実。

アマルフィのレモン。

チコーリアは、ベルギーチコリという名でも知られ、オランダから半世紀前にイタリアに伝わり、すぐに広まった野菜。
というか、野原に自生しているので、イタリアではもっとも馴染み深いサラダ菜の一種。
チコーリアは高さが1mにもなり、どこにでも生えました。しかも美しい赤い青い花が咲くので簡単に見つけられました。

野草のチコーリア。

チコーリアの語源はアラビア語かギリシャ語かわかっておらず、歴史は短いし、なぞが多い植物。
チコーリアを食べる習慣が広まったのは12世紀以降。この頃から栽培も行われるようになって、ラディッキオやエンダイブなど多くの品種が誕生します。
ベルギーチコリは光を当てずに栽培するので葉緑素のないほろ苦いチコリになる。
チコーリアには結球するものとしないものがあり、根を食べるもの、芽を食べるもの、葉を食べるものがあります。葉の色は赤、緑、ミックス。チコリは軟白栽培して白くしたものがあります。


ウィットルーフチコリ(ベルギーチコリ)。

古代ローマ人は、おそらく花の形からチコリのことを豚の鼻と呼んだ。チコリの茎や根に含まれる成分を食べると、雌豚の乳の出がよくなるので、豚はチコーリアが好物だと信じられていた。
チコーリアの新鮮な葉は喉の渇きを癒し、湿疹やできものを抑える作用がある、とか、煮た根には解毒作用があって、大麦と一緒に炒って粉にするとコーヒーの代用品になった。コーヒーと同じように美味しくて、体に悪い影響はない。チコーリアのゆで汁を食事の前に飲めば食欲を増進させ、肝臓の中毒や慢性の便秘、糖尿病にも効いた。とその薬効はかなり知れ渡っていたようです。
そのため、ノヴァーラの戦い、という1513年の歴史的な戦いにまで登場してきます。この戦いはミラノとスイスの同盟軍がフランスを撃退した戦いですが、ミラノの新聞記者は、フランス人はストレスで肝臓が悪くなり、老廃物を体から出す効果があると信じられていたチコリ茶を飲んでいる、と敵を侮辱しました。そのため、戦勝記念のパレードに、剣の先にチコリを絞りつけて“ズコーリア”と叫びながら行進したそうです。それ以来、チコーリアは敗者を意味するようになりました。

ノバーラの戦いの再現。


精一杯敵を馬鹿にする言葉がチコリって、そんな時代の戦争だったんだなあ。

チコリ茶。



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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シチリア出身のシェフがミラノで出した店は、その名もイカの卵。イカの卵はベネチアのチケッティの珍品中の珍品でした。

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