2021年10月30日土曜日

パッサテッリはパルミジャーノの故郷が生み出した残り物の有効利用の知恵が詰まった料理。

今日はミネストローネの続きです。
ミネストローネが、貧しい家計をやりくりして作る質素な野菜料理ということはおわかりいただけたでしょうか。
畑の残り物野菜の料理をどうやっておいしくいただくかは、イタリアの農民の大きな課題でした。
贅沢な肉な動物性タンパク質や脂肪を一切使わないで、料理にコクを出すにはどうしたらいいか。
その解決策の一つが、チーズの皮を加える、という方法。
豚の皮を加えたりもしました。
さらにすぐ考えつくのが固くなったパンを入れること。
このチーズと固くなったパンの組み合わせは、パルミジャーノの産地、エミリア・ロマーニャ地方では多用されました。
タリアテッレのふるさとロマーニャ地方では、この組み合わせのパスタも生まれました。
パッサテッリpassatelliです。
カルロ・クラッコシェフは、自らの経験と研究した地方料理を集めた力作、『カルロ・クラッコの地方料理』の中で、パッサテッリのことをこう説明しています。

passatelliパッサテッリは庶民が生み出したスペチャリタだ。元々はおろしたチーズがベースの質素な料理だった。確かに、パルミジャーノは決して安いものではなかったが、パルミジャーノの産地では家庭に広く普及していた。
伝統時なリチェッタでは、パン粉にパルミジャーノ(骨髄や小麦粉を加える場合もあった)、卵、ナツメグ、レモンの皮を混ぜて太くてきめの粗いベルミチェッリのような麺にし、シンプルにブロード・ディ・カルネでゆでた。
ロマーニャ地方の沿岸部では最近は、シーフードのスープでゆでるのがブームだ。
今月の(CIR)では、これを小さなボールにしてミネストローネに入れた(リチェッタはP.6)。
丸めるので型を使わないので、もっと簡単に作ることができる。さらに、地味な野菜スープが、この小さなボールで一気に楽しげな料理になる。
野菜が苦手な子供だって、喜んで食べそう。
他にも様々応用できそうで、なかなかの発明だったかも知れない。


パッサテッリ・イン・ブロードPassatelli in brodo

材料/4人分
おろしたパン・・200g
グラナ・パダーノ・・200g
レモンの皮
こしょう、ナツメグ

・上記の材料とこしょうを混ぜ、卵4個を1個ずつ混ぜ込む。ブロードをかけないでアッシュッタにする場合は小麦粉大さじ2を加える。台に移してこねる。堅い時はブロード、柔らかすぎるときはパン粉を加える。ラップで包んで30分休ませる。
・生地を少量ずつ丸めてポテトマッシャーに入れ、沸騰したブロードの上で押し出す。
ナイフでパッサテッリをカットしてブロードに落とす。
・パッサテッリが浮かび上がったらゆで上がり。ブロードごと皿に盛り付ける。

ダビデ・オルダーニシェフの地方料理の本、『メイド・イン・イタリー

には、型を使わない作り方が、クラッコシェフの本にはシーフードのズッパのパッサテッリのリチェッタが載っている。

ミラノで万博が開かれたのは随分昔のような気がするけど、確か2015年でした。
その際にモデナ出身でエミリア・ロマーニャ地方の食文化の広報官のように積極的に活動していたマッシモ・ボットゥーラシェフは、パルミジャーノの皮についても語っています。

パッサテッリのリチェッタもあります。


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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...