2021年10月3日日曜日

ミラノとロンバルデイアを象徴する料理、カッスーラは聖マルティヌスの日以降に作る。

今日の料理は、ミラノとロンバルディアを象徴する料理、サボイキャベツの煮込みが行き着いた北イタリアの冬の煮込み料理、カッスーラcassoeulaです。
ロンバルディア以外にも、イタリア各地で造られている料理です。
ミラノ料理の画期的な本、『クチーナ・ミラネーゼ』に詳しい説明がありました。

この本によると、この料理の主役はキャベツと豚肉。
もっと詳しく言うと、サボイキャベツことベルザと、豚肉の安い部位です。
さらに言うと、伝統的には、聖マルティヌスの日という、豚に取っては最悪の日、11月11日以降に作る料理です。

この日は農民にとっては収穫が終わり、収穫祭を行い、豚を捌き、ベルザに霜が降りる、冬が始まる日。
聖マルティーヌスの日↓

農場の聖マルティヌスの日↓

豚の高価な部位は、サルーミや腸詰めにします。
一段落ちる部位、スペアリブ、耳、尾、足、鼻はボッタッジョ(bottaggio)にします。
ボッタッジョはカッスーラの別名で、フランス語でミネストラという意味のポタージュの語源です。
この本によると、豚のカッスーラより前にはガチョウのカッスーラというのがあって、これはフランスがミラノを占領した短い期間(1797〜)にフランスから伝わったそうです。
ガチョウは家禽として豚より扱いやすく、脂も多いのでキャベツとの相性がよく、皮や脂身の大部分を取り除き、さらにオーブンで焼いて脂を溶かすので、豚のカッスーラと比べると味は似ていてももっと軽い料理だそうです。

ガチョウとベルザ↓


豚を捌いた後に出た切り落としで作るのが、小さなサラミ、ヴェルツィーニverziniです。これもカスーレに入れて煮込みます。
ヴェルツィーニは塩、こしょうだけで調味し、スパイスは加えません。そしてコントルノとして熱々のポレンタに、または翌日のポレンタのクロストーニに添えて食べます。
カスーレCassoeula Ricetta Tradizionale Milanese
材料/
サボイキャベツ・・1.5kg
豚足・・2本
豚の耳・・1枚
豚スペアリブ・・600〜700g
豚皮・・200〜250g
サラメッラ(ベルジーニ)・・6個
セージ・・2〜3枚
ローリエ・・2〜3枚
粗塩
にんじん・・2本
セロリ・・2本
玉ねぎ・・1個
バター・・30g
白ワイン・・1カップ
こしょう
ブロード・ディ・カルネ・・1.5㍑

・にんじんとセロリを粗いみじん切り、玉ねぎは薄切りにする。ベルザは開いて芯を取る。
・豚の足や耳は下ごしらえして水を張った鍋に入れ、セージ、ローリエ、塩を加えて沸騰してから40〜45分ゆでて脂を落とし、取り出す。
・豚足を4つに切る。皮は大きめの四角に切る。耳は薄い部分を細く切る。上部は粗く切る。スペアリブとサルシッチャは余分な脂を取る。または170℃のオーブンで25分焼いて脂を落とす。
・大鍋にバターと玉ねぎを入れて炒める。スペアリブ、耳を加えて3〜4分なじませる。皮は崩れやすいので別にする。
・白ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・セロリとにんじんを加え、火を弱めて15分ソッフリットにする。
・その上に洗ってざっと水気を切ったベルザの半量をちぎりながら(包丁で切らない)加え、別にした皮をのせてブロードをかける。蓋をして中火の弱火で15分煮る。
・残りのベルザを加え、蓋をして残りのブロードをかけ、煮汁が煮詰まってとろみがつくまで煮る(計約45分)煮る。煮上がる25分前にベルジーニを加える。5分前には塩味を整える。仕上げにここしょうを加える。一日置くと美味しくなる。

豚の耳に足に皮入りとは、都会っ子にはちょっとハードル高いかな。
ちなみにミラノでは冬になると需要があるので、どの肉屋でもカッスーラ用の部位がすべて手に入るそうです。


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