2021年10月29日金曜日

ハリーズ・バーのジュゼッペ・チプリアーニの言葉は今読んでも深い。

今日のリチェッタは“冬のミネストローネ、パッサテッリボール入り”(P.6)。

素朴な疑問、その1。
冬のミネストローネってことは、ミネストローネには季節がある?

その疑問に答えるには、ミネストローネがどういう経緯で生まれてきた料理かを知る必要があります。
スープ料理の名物が多いトスカーナ料理の力作本、『ルフィーノのトスカーナ

には、こんな事が書いてありました。

「ミネストローネは質素で美味しい本物の料理だ。刻んだ野菜がベースの、主に冬に食べるミネストラ。風味づけにはチーズの皮を入れたりする。子供はあまりミネストローネが好きではないが、ミネストローネに入っている皮は人気があった・・・」
本ではさらに、ミネストローネ・ポーベロという、最初から質素な料理にわざわざ“貧しい”とつけた料理が紹介されていました。

どんな料理かと言うと、ただの残り物の野菜ではなく、多少傷んだ野菜を使うのだそうです。
特に、ビエトラ、ほうれん草、じゃがいも、さやいんげん、ズッキーニ、にんじんなど。

手に入る余り物野菜で作る素朴なミネストローネは、たしかに季節的にはそもそも最初から冬の料理です。
村のオステリアで女性たちがことこと煮て作るミネストローネを、地元のお百姓さんたちに囲まれて食べるのは、寒い冬の日がよく合いそうです。つまり、冬のミネストローネとわざわざ冬を強調したということは、冬野菜が入ってます、ということのアピールですね。

今回の料理がきっかけで調べてみて知ったのですが、ミネストローネにはポーベロという形容詞がよく使われています。
豪華で贅沢なミネストローネなんてないんですね。質素な食材をいかに美味しく料理するかがこの料理の醍醐味。


さらに、世界的人気レストラン『ハリーズ・バー』でもミネストローネを出しているようで、創業者ジュゼッペ・チプリアーニの自伝的本、『ハリーズ・バー

には、その背景にある考えが書かれていました。ミネストローネの本質を言い表す素晴らしい話でした。

「本物のミネストローネは水で作り、鶏のブロードは加えない。
濃くてドロッとしたミネストローネもあるが、ハリーズ・バーのミネストローネは軽くてさらっとしている。
その味はすべての食材一つ一つの味が混ざりあったもので、どの野菜からも素のままの自然な味を引出している」。

ハリーズ・バー


リチェッタを訳してみます。
ミネストローネMINESTRONE
材料/6人分
オリーブオイル・・30ml
バター・・30g
玉ねぎの小角切り・・1個
2〜3cm角の小角切りにしたセロリ・・大1本
ポロねぎの白い部分の細切り・・2本
2〜3cm角の小角切りにした皮むきトマト・・大1個
2〜3cm角の小角切りにしたズッキーニ・・小2本
粗く刻んだキャベツ・・1個
2〜3cm角の小角切りにしたじゃがいも・・1個
2〜3cm角の小角切りにしたにんじん・・1本
2〜3cmの輪切りにしたアスパラガス・・6本
ローリエ・・1枚
熱湯・・2㍑
トマトソース・・1カップ
おろしたてのパルミジャーノ
粗挽きこしょう、塩

・深い鍋に油を入れて強火で熱する。
・油とバター15gを加えて溶かし、玉ねぎを加えて弱火で10〜15分ソッフリットにする。
・他の野菜とローリエ、塩、こしょうを加えて15分ソッフリットにし、水とトマトソースを加えて沸騰させる。
・火を弱め、蓋をずらして載せて15分、コトコト煮る。
・ローリエを取り除き、濃すぎる時は熱湯少々を加える。
・残りのバターを加えて味を整える。おろしたパルミジャーノを散らして熱々をサーブする。

明日はパッサテッリの話。

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