バッカラの話は、スケールが大きくて大好きです。netfrixでドラマ化希望。
そもそもタラは、北大西洋のグリーンランド、ノルウェー海、北海、バレンツ海の間に多くいる魚。そしてこれを干したバッカラは、ヴェネト料理の代表的な食材です。
ノルウェーのタラ漁。
北大西洋とヴェネトの出会い、そもそもは、1432年にヴェネチア共和国のピエロ・クイリーニ艦長が難破して、ノルウェーのロフォーテン諸島のロスト島に流れ着いたのがきっかけでした。
ロスト島。
艦長と乗組員は、地元の漁師からもらった風と天日で干して木のように硬くなった大量の魚で命をつなぎました。それは脂肪分が少ないので下む心配がなく、味も変わらないものでした。しかも完璧に保存ができたので輸送にも適していました。
ロフォーテン諸島のストッカフィッソ。
食材を腐らせずに輸送することが大問題だった時代には理想的な食材です。
艦長はノルウェーを出発する前にライ麦パン60本とストッカフィッソを贈られました。このうちの何本かがヴェネチアまで届いたと考えられています。
ちなみにヴェネト、特にヴェネチア以外では、タラを干したものはストッカフィッソと呼びます。古代オランダ語の“ストックフィッシュstokvich”が語源。バッカラの語源は、一説によると、スペイン語のバカロ。ラテン語で棒という意味のbacculusからきているのでは、と言われています。
バッカラがイタリア中に広まったのは、ヴェネチアに着いてから1世紀後のことでした。
きっかけになったのは1545年のカトリックの会議、トレント公会議。
この会議は、キリスト教の断食の規則を決めてこの期間に食べてよいものを決める会議でした。
トレント公会議
唐突ですが、なんとここにきて急に断食というキーワードが出てきました。復活祭の前の四旬節の話、覚えてますか?
このキリスト教の断食の規則のお陰で、イタリア中で魚の消費量が増えたのです。
ヴェネチアではバッカラは重要な食材となり、バッカラ・マンテカートが誕生します。バッカラのヴィチェンツァ風も有名になりました。
ヴィチェンツァではバッカラ、つまりストッカフィッソは“バカラbacalà”とcが一つ、バッカラはbaccalàでCが2つ。
バッカラ・ヴィチェンティーナは、今ではヴェネトを代表する料理。
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