2024年3月18日月曜日

クルルジョネスは芸術的な3Dの詰め物パスタだけど、パスタを麺棒で透き通るように薄く均一に伸ばす技も芸術的。詰め物入りパスタからは食文化が出来上がる過程が見えてきます。


サルデーニャのクルルジョネス(リチェッタはCIR2021年12月号P.4)は旅をするのに値する芸術的なパスタ。

形が芸術的なパスタですが、このパスタの詰め物は、ゆでたじゃがいも、ペコリーノ、ミントなど。
古代ローマの羊飼いによってイタリア中に広まったフレッシュチーズを使うリチェッタも。
ちなみに豚や牛の飼育はロンバルディアから広まりました。
詰め物入りパスタは、閉じ方がポイント。クルルジョネスはかなり複雑で伝統的なパスタ。
イタリアには閉じ方で有名な詰め物入りパスタがたくさんあります。
まず、このタイプのパスタは北イタリアの食べ物で、南ではあまり見かけません。そういう意味からもクルルジョネスは特別なパスタ。
ローマ時代に羊飼いの文化が広まった地方では、リコッタなどのフレッシュチーズや野菜を具にし、その後、ロンバルド族に支配された地方では牛と豚の飼育が義務付けられたため、パスタの詰め物にも牛肉や豚肉を使うようになったという説もあります。

このパスタは薄く平らに伸ばすことに特化した北伊で栽培される軟質小麦粉を使うからです。硬質小麦粉は3Dの立体的な造形には向いていますが、細かい細工には適しません。
北イタリアには有史以前から軟質小麦が生えていました。一方、イタリア南部や地中海全的では、硬質小麦が栽培されています。北部の気候は硬質小麦には適さないのです。
軟質小麦はパンにするとおいしいですが、粘り気がありすぎて小麦粉と水を混ぜた乾麺には向きません。軟質小麦は硬質小麦と比べると、でんぷんの量が多く、グルテンを始めとするたんぱく質、ミネラル、ビタミン、脂肪が少ないからです。そこで北イタリアの人は動物性たんぱく質を加えることによって腰のある生地を作りだしました。軟質小麦にない性質を補う動物性たんぱく質、それは卵白でした。
北伊の詰め物入りパスタの傑作は、トルテッリーニです。


クルルジョネスによく似た詰め物入りパスタ、ピアチェンツァのトルテッリ・コン・ラ・コーダ。
色んな形の詰め物入りパスタがありますが、基本は薄~く伸ばしたパスタ・テーザ。これをカットするとタリアテッレになります。
パスタを薄く均一に伸ばす技も芸術的。ボローニャの女性はこの技を母親から受け継いでお嫁に行きます。


トルテッリーニの仲間、パルマやピアチェンツァのアノリーニは道具で成形するブキッチョの味方。トルテッリーニ、アノリーニ、カッペッレッティなどは同じ生地から造られる詰め物入りパスタですが、トルテッリーニは生地が一番薄い。

詰め物入パスタからはイタリアの食文化が形成される過程が見えてきます。

=====================================
(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

現在、2021年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売している(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)のバックナンバーは、2021年1~12月号です。
定期購読は2021年からできます。
古い雑誌や本は在庫を探しますのでご相談ください。
本以外のお問い合わせもどうぞ。

ご注文の場合は、こちらのフォームからお願いします。
本や(CIR)の購入方法

お問い合わせはこちらからどうぞ。
(CIR12月号)は現在発売中です。


(下記のリンクがクリックできない時は左クリックして表示されたurlをクリックしてください)
=====================================
クレアパッソのブログは下記の3種類あります。

[creapasso.comへ戻る(hpはシステムのトラブルで長期間更新していません、あしからず)最新情報はすべてブログでお知らせします]

====================================


0 件のコメント:

シチリア出身のシェフがミラノで出した店は、その名もイカの卵。イカの卵はベネチアのチケッティの珍品中の珍品でした。

ゴールデンウイークにイタリアに行く人たち、いいなあ、なんて思いながら、情報だけはどんどん入ってくるので、今年もせめて動画でバーチャルツアーしましょうか。 今年はミラノガイドのカリスマが、新しい本を出したので、その中からミラノのお店をいくつかどうぞ。 まずは老舗のパスティッチェリー...