イタリア料理の世界では、クリスマスに並ぶキリスト教の一大イベント、復活祭。
四旬節や金曜日に動物性脂肪を断つ、という断食の習慣は、イタリアの海がない地方や山の上にまで、魚料理を普及させ、それに伴って、魚の保存技術や流通も進化を遂げました。
特にバッカラ(干ダラ)やアンチョビの塩漬けが、イタリア中に行き渡ります。
木曜日はニョッキGiovedì gnocchi、という言い回しがローマにはありますが、これは、金曜は魚Venerdì pesce、土曜はトリッパsabato trippaと続きます。戦後の食糧難を解決するために考え出されたと言われていますが、金曜日だけは、キリストがはりつけにされたのが金曜日だからという宗教上の理由で、肉食を禁じたのでした。
大衆魚に内臓、じゃがいも料理と、経済的なものを食べてきつい肉体労働に耐えるだけの栄養を取るという涙ぐましい庶民の知恵が、込められています。
Venerdì pesce
この魚は、決してマグロなど高級魚ではなく、大衆魚です。それをお金をかけずにで手軽に調理します。
山の上まで運ぶことができる保存性がよくて安い魚。その一つが、例えばチェターラのアンチョビ。
コラトゥーラで知られるチェターラはアンチョビの産地で、イワシもとれます。イワシのチェターラ風は、イワシにパン粉とパルミジャーノ、卵の詰め物をして焼いたボリュームのある1品。
チェターラのコラトゥーラ。
なぜイタリア人はバッカラを食べるのかというノルウェーのドキュメンタリー。太陽の国イタリアでなぜこんなにバッカラが売れるのか、不思議だったのでしょう。ベネチア映画祭に出品された力作ドキュメンタリー。
ノルウェーのタラの干物とイタリアのイタリアの間には、『ショーグン』に匹敵する異文化の運命的な出会いの物語があったのでした。
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